• ~旅と日々の出会い~

新コーナー『人びととともに、木次線』と12/15『木次線まつり』のお知らせ

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駅舎は思い出の『図書館』であるとともに、将来のことを考える『居酒屋(パブ)』でもあるのです。そして線路は思い出を運び、出会いをつくるファシリテーター(支援者)となるのです。


― 出会いを求め旅立った足跡は、路となり、やがて路は文化となった ―

チラシ(PDF)

はじめに 駅舎と線路

多くの人々が交わる都市の大型駅舎、わずかな人がすれ違っていく木次線の小さな駅舎。大型駅舎なら意外な発見や驚きがあります。それは駅機能以外のショップやイベントがあるからでしょう。
故郷の駅舎に降りると、今でも旅立ったあの日のことを思いだすのです。思い出という懐古だけではありません。後悔にも似た懐古は、これから何をすべきかを考えさせてくれるのです。旅した北海道の無人駅舎でも、異国の言葉も文化も分からない駅舎でも、妙な懐かしさとともに新たな思いにかられるのです。それはチャレンジしようとする思いを意思へと後押ししてくれるからでしょう。

駅舎は大小に関わらず人びとの社交場でもあり、学びの図書館でもあり、そして新たな日々を考える哲学の部屋なのです。線路はそれを繋ぎ、結び、やがて人生の大河へと送りだすのです。

木次線

新コーナー『人びととともに、木次線』

木次線から夜行急行がなくなり無人駅が増えると廃線の噂が立ち、やがて噂が歩きはじめました。
木次線に乗って松江のデパートでチキンライスを食べ、雪が積もれば三井野原スキー場で楽しみ、集団就職で町を去る友の兄姉を見送り、貨車に積む牛を見送る農家の人も見てきました。駅員や線路工夫の人たちだけでなく、38豪雪(昭和38年)で閉ざされ駅舎の除雪をする人たちや木次線を通して商いをする多くの人々も知りました。

・駅舎での出会い

仕事で来る人、担ぎ屋さんたち、富山の薬売りの人をはじめ商い人、リュックをかつぐ登山者、駅舎で泊る旅人や旅立つ旅芸人に、見知らぬ世界の話を聞いたのも駅舎でした。

駅舎で聞く話は学校で学ぶ終わった過去の出来事ではなく、現在も変化しつつある世界の話でした。もちろん悲しい別れも、悲しい出来事もありました。それも含めて駅舎で学んだのです。

学生になり、社会人になり、家族が出来ても変わりはありません。聞き手から語り手になっても、いつでも聞き手に戻るのです。

・駅舎も線路も止まらない

駅舎の時計は止まりません。決して止まることはありません。秒の単位まで正確に、停車はミリの単位まで確実に、そして運行はみんなの安全と幸せのために働き続けるのです。それが駅舎の使命であるのです。

駅舎は思い出という図書館だけでなく、止まることのない時計とともに出会いと新たな旅立ちを刻み続けます。
「正確・確実・安全」な時の刻みは駅舎の理念であり、哲学でもあるのです。現在も人々ともに動き、これからも刻み続けるのです。たとえ無人駅になっても、列車は時間通りに、安全にやって来て去って行くのです。

線路も列車も駅舎も、そして少なくなった利用者も、さらには駅頭の町並みも、線路沿いの田畑や山や川など、すべて含めて「木次線」です。

『人びととともに、木次線』

新コーナーの『人びととともに、木次線』は、木次線の歴史文化もお伝えしますが、最大の目的と役割は、木次線の継続のために活動し、いまでも木次線に関わる人々の生き様を伝えることです。

かつてこんな反論が大手を振って行われました。「だったらお前、木次線に乗れよ」。赤字を解消するのは利用者を増やすことだと。あるいは「助成金出せよ」と誰かに頼る考えもありました。すべて「All or Nothing」(すべてか、まったくなしか)、経済構造(経営)領域のみでの対立の考えでした。

木次線は人や物を運ぶだけでなく、人の思い出や希望さえ運んでいたのです。むしろ希望や夢を運んでいたから多くの人たちに愛されたのです。
マーケテイング用語でいえば、「機能的価値」(運ぶ)だけでなく、「情緒的価値」(利用することで得る幸福感やワクワク感)に視点をあて、そこから木次線を見つめ直します。あえていえば、そこに継続・再生の糸口が見つけられるのではと希望しています。

出雲大社型駅・出雲横田駅

12月15日、『木次線まつり』開催(木次駅前)

今年の2024年12月15日(日曜日)、午前10時から午後6時(ロビーイベントは午後3時まで)、木次駅前の「チェリヴァホール」にて開催されます。主催は「元気いっぱい木次線まつり実行委員会」です。

イベント内容(概要)

10:00-15:00 ロビーイベント 巨大レールトイ展示など体験コーナー
13:00-14:45  シンポジウム『未来へ続く木次線』講演・森田一平氏、ディスカッション・飯野公央氏、森田一平氏、江上英樹氏、島根大学鉄道研究会
10:30-      映画上映 有料
10:30      「ワン・セカンド」
15:00      「砂の器」 村田英治氏と関係者の皆様によるアフタートーク

詳細は掲載のチラシをご覧ください。またご問い合わせはチラシ掲載の主催団体にお願いします。

チラシ裏面

木次線について思う

私たちは自然の摂理の幾つかを知っています。いかに頑丈な岩でも崩れ去る時が来ることを。人々に憩いと潤おいを与えた大樹もいつか枯れ朽ちることも。自然の脅威だけでなく、人間社会の都合によって破壊されることも体験してきました。科学と叡智によって築かれたものが時代に合わないと、あるいは公共の利益を盾に、人類自らの手によって撤去・破壊されたこともありました。確かに滅びるものがあるから生まれるものがあります。

次の世代のためにと代わりを用意されもしました。記録に留めることもされました。一部保存されて記念館になりました。それも大切なことです。

島根国は、線路の特徴から『繋がる』をキーワードに考えようと計画しています。木次線存続を考える活動も、列車の乗客に歓迎の意思を表すのも、なによりも木次線について考えることさえも、自分だけでなく誰かと繋がる始まりです。
わずかな『繋がり』であっても、それが新たな考えやアイディアになれば幸いです。

新コーナー『人びととともに、木次線』の第一回は、12月15日開催の『木次線まつり』の現場報告です。

出雲大社のしめ縄 (繋がり交じり合う)

     『島根国』運営者一同      


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