かつて囲炉裏の傍で寝物語に聞いた伝説や逸話。そんな昔話を、名所旧跡の旅情報や自然と人々の出会いと共に紹介します。旅のコースに考えてください。一回目は、源義経の家臣、松江市枕木山の麓で生まれた「弁慶」の伝説です。
かつて地方を訪ねると、その地その場の昔話や伝説に出会いました。
山道ですれ違う地元の老人が「山が白くなったから夕立がくるぞ」と話しかけ、畑の脇の苔むすなにげない石に深い物語があることを教えられ、民宿の広間で夕飯を食べていると一升を持った主人が「地元に伝わるめんこ話を聞くかね」やってきた。
旅するスタイルも変わったのでしょう。地域文化を伝える施設も充実したのでしょう。秘話や怪奇じみた昔話を聞く機会がなくなりました。いつか記憶からも消えるかもしれません。あたかも、経済成長の陰に「村落共同体」が崩壊したように。
珍しい昔話を風化させないために、『歴史と人物』のコーナーで島根に関係する歴史上の人物を紹介します。
島根にお越しの折は、遺跡巡りだけでなく、伝説や逸話を知り、機会があれば話を聞いて頂きたいと思います。もちろん互いに迷惑をかけない範囲でのことです。また、島根に暮らす人々も地元文化の継承として、逸話や昔話、そして伝説を残して頂ければ幸いです。
掲載予定 目次
2話 神々の国の首都を散歩する小泉八雲 ー日本の心と精霊を求めてー
3話 万葉の異端児『柿本人麻呂』、益田に隠遁 (予定)