島根半島をから約60km、日本海の疾風怒濤の見渡す限りの紺碧の海原に、こつ然と現れる濃緑の島影。それが180あまりの島から構成される隠岐(おき)諸島。その中でも古くから人が暮らしているのが隠岐4島。島後島(どうごしま)の隠岐の島町、島前島(どうぜんしま)に属する中ノ島の海士町(あま)、 西ノ島の西ノ島町、知夫里島の知夫村(ちぶ)。そこには『百島(百花)繚乱の隠岐』が待っています。

島根県は三つの地域でできています。安来市・松江市・出雲市・奥出雲町・飯南町の「出雲地方」。大田市、江津市、浜田市、益田市、川本町、美郷町、邑南町、津和野町、吉賀町の「石見地方」。そして隠岐の島町・海士町・西ノ島町・知夫村の「隠岐地方」。
県外から来た方は気づかないでしょうが島根に生まれ、彼方から島根を見る者にとって、三つの地方の人の気質や感覚に差異を感じます。文化や政治的な対立を背景にしたものではなく、良いとか悪いという価値比較でもありません。簡単に言うと地域外者との接し方です。あるいは島根を出ていった者に芽生えた、過去と今とこれからの思いが入り混じった感覚かもしれません。
近年、意識して見ないと分かりませんが、こと政治がからむと微妙な形で現れます。政治と言っても与党・野党といった政党色ではありません。行政区としてのこだわりです。それが如実に出てのが「平成の市町村合併」に対する住民の意思です。ある意味、島根は律令制度地方分権連邦「国家」かもしれません(私見)。
このあたりの謎解きは、島根の歴史をとくとご覧頂ければ幸いです。とりわけ、江戸時代から幕末、そして明治維新。あるいさかのぼること古墳時代。
さて隠岐諸島に渡るためには船(フェリー・高速船)か飛行機しかありません。
船(フェリー・高速船)で渡るならば、七類港(島根・松江)か、境港港(鳥取・境港市)。フェリー約3時間、高速船約1.5時間。
飛行機ならば、出雲空港から島後の隠岐の島町へ30分。伊丹空港から1時間。それぞれ便も少ないので隠岐の旅の目的と調整が必要です。

「疾風怒濤」「百島繚乱」の隠岐。なんとなくオドロオドロシイ言葉がつづきます。「疾風怒濤」が「情念」にかかるか、「島」にかかるか、それは日本海の波と風次第としておきます。「島」が「鳥」に見えたりすると鬱蒼とした密林と褐色の岸壁を想像します。
「百島繚乱」。「一話 『百島繚乱』のはじまり ―何かを求めるのではなく、何かを見つけることからはじまる―」で、百花繚乱(ひゃっかりょうらん)からの造語であることを説明しています。
「180あまりの島から構成される隠岐(おき)。その中でも古くから人が暮らしているのが隠岐4島だ。」
「百花繚乱(ひゃっかりょうらん)、さまざまな花が美しく咲き乱れる。転じて才能のある人材が沢山現れ活気と革新に満ちている様。それにちなみ「百島繚乱」は、隠岐の島々には多彩で独特な文化・人材・風土に満ちているという意味の『島根国』の造語」
『島根国』では名所旧跡や自然を単体(モノ)で取り上げるのではなく、「ヒト」との関り、行動や社会変化という「コト」への展開で紹介します。そしてその根底にあるのが「Why(なぜ)思考」。現象や手段でなく、理由・原因を未来志向で問うのです。
例えば、ローソク島の夕日を見て奇麗だと思ったならば、「綺麗の羅列」ではなく、「なぜ、綺麗だと思うのか」を考えてみます。現象を語るのではなく、「なぜ、そう思うのか」を掘り下げてみる。あるいは「私たちは、どうなろうとしているのか」を考えてみます。それは旅先に隠岐の島を選択した意味や、出会いの旅を掘り下げてみることに繋がります。
「私」という存在や対象としての「ローソク島」だけでなく、「私」が関わる「島に暮らすひと」がいます。見る・考える「私」から、もう一歩踏み出した「私たち(we)」で考えてみるのです。旅行者と生活者、旅人と島民という「対」の関係ではなく、「共に感動し喜ぶ共同」の共有という関係です。そのためには相手を互いに理解することから始まるのです。
島民は、なぜ「ローソク島」を提供してくれたのか。そこには見た目の綺麗だけでない、存在としての真意があるはずです。

『島根国』は、行動の原点として「モノ・ヒト・コトづくり」を提案してきました。
例えば、書籍づくりで説明します。
・モノ 本づくり (編集・デザイン、版下製作・印刷・製本、流通・書店)
・ヒト ヒトづくり (著者、本造りにかかわる協力会社のひとたち、読者)
・コト ブームや波及づくり (書籍が売れることで新しいブームが起き、他の業種も活性化し、あらたな市場も生まれる)

編集者の仕事やミッションは、「書籍づくり」だけでなく、著者や読者を作り、また著者や読者によって成長させてもらい新たな企画を生みだすことができるのです。それによって、例えば『登山』本の出版によって登山の道具や靴や服が売れ、さらには山に登る人が増えることで山間部の市場やお店が活性化します。
人生も仕事も、そして出会いという関係も旅も、すべて「モノ」創りから始まって、「ヒト」つくりという相互の切磋琢磨と共創を通した自己変革、やがてそれは社会や環境の「変化・変革」とへと繋がり、新たな「モノ」創りとなり、新しい環境や社会をつくるのです。
隠岐4島の名所旧跡や歴史・文化、自然や環境を『島根国』独自の視点で紹介します。しかし、すべてはそこに存在する人や営為・行動との関係だと考えます。当然、いろんなご意見はあるでしょう。多様性というまでもなく、いろいろな見方や価値観、意識や習慣があります。好き嫌いもあれば、損得もあります。もちろん『島根国』が正しいわけでありません。ただ、それも一つの見方だと受け止めてください。
主体の感性や行動が、関係によって変化していく。
全体のサブタイトルは『―百島(百花)繚乱の隠岐に出会いを求めて―』。一話のサブタイトルは『―何かを求めるのではなく、何かを見つけることからはじまる―』。
『求めた』ことが『見つけること』に変化して、『二話』あたりでは『触れる』とか『疑う』となるかもしれません。それは成長の一歩。「関心」や「好奇心」の進化形態です。
訪ね行く地方の魅力は、「見る」だけでなく、「関心をもち」、「探し」、そして「関わる」ことが大切だと提案します。

集団という「組織」で生きていく「人間」は、関りを求め、関わりの中で存在し、これからもその中でしか存在し続けない。自然との関り、社会との関り、そして相手との関り。そこに未来との関りが追加された。
離島にあっても世界と、未来と、そして人の意思と関わる。それは、今や未来だけでなく、数億年前からの生命の創生から。
旅は「学び」。それを、この夏、隠岐諸島の旅で、気づき、学びましょう。

「疾風怒濤の情念の島 隠岐」へ

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