玉造温泉は、JR「玉造温泉」駅より1キロほどのところにあります。駅前からは送迎車、バス、タクシーをご利用ください。また松江市内からは直通のバスが出ています。
宍道湖に注ぐ玉湯川にそって20軒ほどの旅館が並び、閑静ななかに湯けむりの穏やかさを感じます。
『出雲国風土記』にも記載されている温泉です。
泉質は、ナトリウム・カルシウム・硫酸塩・塩化物泉で、塩酸イオンがお肌に水分を与え、お肌にハリと潤いを与え美肌効果があります。一言でいえば、美人の湯、美肌の湯です。身体の芯からくつろいでください。
温かい季節なら浴衣での散歩をお薦めします。
玉造温泉の奥、玉湯川沿いに『玉作湯神社』があります。勾玉(勾玉)作りの神様クシアカルダマノミコト、そして、この温泉を発見した国造りと温泉の神様オオナモチノミコト(大国主命の別名)とスクナビコナの三神が祀られています。また、併せて鎮座する韓国伊太弓社(カラクニイタテノミコト)には、山林の神様の五十猛命(イタケルノミコト)が祀られています。あわせてお参りしましょう。
境内の「真玉」(まだま)に触れると願い事がかなうと伝えられています。社務所で「叶い石」を求め、「願い石」に付けてパワーを得てお守りにします。
『湯閼伽(ゆあか)の井戸』は別名「恋来井戸」ともいいます。「恋(こい)叶いの素」という鯉(こい)の餌を井戸から投げると鯉(恋)が現れます。神社前に架かる赤い欄干の宮橋は恋叶い橋」ともいいます。インスタ映えする人気のスポットです。
美味しい料理を食べるのです。松江の地酒をお楽しみください。
李白酒造有限会社
米田酒造株式会社
國暉酒造株式会社
王祿酒造有限会社
(参考 当サイトの「食と酒」)
・出雲神話「国造り」 (当サイト『出雲神話と神々』八話、五話、六話参照)
さてさて、玉作湯神社に祀られるオオナモチノミコトとスクナビコナについてお話しします。
出雲大社に祀られるオオクニヌシ(大国主命。オオナモチノミコトは別名)は、大変な苦労とみんなの協力によって見事、国造りを成し遂げました。しかし、そこまでには大変な嫌がらせと試練がありました。そのことについて少しお話しします。
オオクニヌシは兄神の八十神(やそがみ)に二度も命を絶たれました(火傷と圧殺)。それでも母神の必死の願いを聞き入れたカミムスビ(高天ヶ原にいる天津神)の力で甦ります。因幡の素兎の物語。しかし、権力と美しい女神のヤガミヒメに執着する八十神は、決して追撃の手を休めることはありませんでした。見かねたオオヤビコノカミ(大屋毘古神)は、スサノヲ(素戔嗚尊)のもとへと逃がしたので。
さて、スサノヲのところでも厳しい試練がオオクニヌシを待ち受けていました。しかし、スサノヲの娘神スセリビメを妻にしたオオクニヌシは、無理難題を無事乗り越えたのです。スセリビメと共にスサノヲの武器を携え地上に戻ります。八十神を打ち破り出雲国を統治すると周辺の国々も平定し、葦原の中つ国を治めたのでした。
ところが、力だけで国造りを継続することはできません。平和で幸せな国造りに悩むオオクニヌシは、美保関の岬で海を見ながら思案していました。(島根半島の左端が出雲大社で、右端が美保関です)
・国造りの仲間
そこに現れたのがスクナビコナです。ガガイモの葉でつくった舟に乗る小さな神様です。ところがたいそう知恵がありまし。それもそのはず、スクナビコナは天津神のカミムスビの子供神でした。
カミムスビは天地開闢の時に成られた「造化の三神」の一柱で、スサノヲが高天ヶ原を追放されるとき、弁護し五穀の苗を持たした神様です。
二神は協力して立派な「葦原の中つ国」(出雲国を含む)の国造りに励むのでした。ところが途中でスクナビコナはいなくなります。海の彼方の常世の国(とこよのくに)へと飛び去ったのです。もしかすると蝶になったかもしれません。そんな小説がありますね。
・国造りの神様が玉造温泉を発見
さて、このスクナビコナとオオナモチノミコト(大国主命)が玉造温泉を見つけたのです。二神は、国造りという大変な仕事をしながらも温泉も発見していたのです。「神々の国・島根」ならではのお話ですね。
・宿命的な出会い
ところで、オオクニヌシとスクナビコナにはこれ以外にもつながりがあります。
オオクニヌシが八十神に殺され、生き返らせてくれと母神がお願いに行った先の神様が高天ヶ原にいらっしゃるカミムスビです。オオクニヌシはスクナビコナの母神カミムスビに助けられたのです。
それだけてはありません。玉作湯神社に併せて鎮座する韓国伊太弓社(カラクニイタテノミコト)に祀られる五十猛命(イタケルノミコト)の別名は、オオヤビコノカミ(大屋毘古神)です。そうです。大国主命をスサノヲ(素戔嗚尊)のもとへ逃がした神様です。
さてさて、みなさま、玉作湯神社の境内にも出雲神話が凝縮されていますね。温泉にゆっくりつかり、料理と地元のお酒に舌鼓をうちながら、もう一度、出雲神話の摩訶不思議な世界を思い出してください。
今の話を図にして下記に掲載します。ゆっくりなぞってください。
島根の温泉はいろいろな物語を持って皆様をお待ち申し上げます。
※『古事記』(712年編纂)に出雲神話の物語が綴られています。また『日本書紀』(720年編纂)、『出雲国風土記』(733年編纂)も合わせてご一読ください。
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