• ~旅と日々の出会い~
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一回 江戸と学問の散策の小径にかこまれた「根津神社」
 (東京都文京区)

神社を囲むようにおおった森林を「鎮守の森」と呼びます。迷い込んだら一生抜け出せない、そんな不安な気持になる冷気を含んだ鬱蒼とした森。街中で見かけることはなくなりました。寂しいことですが、郊外や田舎に行けばまだ見かけます。次の世代に残したい自然遺産ですね。文京区根津の根津神社は森ではなく、多くの小径が囲んでいます。それを「鎮守の小径(こみち)」と名付けました。谷根千(谷中、根津、千駄木)から日暮里駅向かう小径、東京藝大・上野公園に向かう小径、東大本郷に向かう小径の三パターンがあります。

根津神社と素戔嗚尊に係わる元町名

根津神社には素戔嗚尊(スサノヲ)が祀られています。それにちなんで「根津八重垣町」と「根津須賀町」がありました。ヤマタノオロチを退治したスサノヲは、助けたクシナダヒメを娶り住まわすところを探すなか「すがすがしい」ところに着きました。そこを「須賀」と呼びます(雲南市須賀神社)。そこで詠んだ歌が日本最初の和歌「八雲立つ出雲八重垣妻籠みに八重垣作るその八重垣を」です。二つの町名はこれにちなんだ名前です

根津神社境内

夏目漱石や森鴎外が腰かけた石があります。「文豪憩いの石」。もし卒論や企画書に困ったら訪れて座ったらいかがですか。私も座ってきました。また、朱色が美しい千本鳥居と乙女稲荷あります。ここに祀ってある神様は、スサノヲの二人目の奥さんの子供です。またつつじが3000株あり春には奇麗な花を咲かせます。

鎮守の小径

夕方を過ぎると不忍通り沿いや通りを渡った小径に、灯が控えめにともります。下町の風情を残す小料理屋に焼き鳥屋、ちょいといなせで粋な構えの寿司屋に料理店、まるでロンドンの路地裏にでも来たようなお洒落なワインバー。素材に固執したフレンドリーな店。もちろん美味しいスイーツ屋にカフェも温かく向かい入れてくれます。お店については紹介雑誌でご確認ください。

一店だけ私が好んで通ったお店を紹介します。古い家を居抜きで使う「根津の甚八」。モガな女将の出す炙りサバは絶品です。鴨鍋は寒い季節には最高です。ただ女将さんひとりで切り盛りしていますので予約をしていかれることをおすすめします。(根津の甚八は真田十勇士の一人です)

根津神社 素戔嗚尊
東京都文京区根津1-28-9
最寄り駅 地下鉄「根津」

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