元号「令和」の出典元として知られる『万葉集』は、7世紀から8世紀後半頃にかけて約4500首もの歌が編まれた、現存する最古の和歌集です。天皇、貴族から下級官吏、防人(さきもり)など様々な立場の人びとが詠んだ歌を集めたものです。
『万葉集』と島根は、とてもゆかりが深いことで知られています。
まず、代表的な歌人である柿本人麻呂(かきのもとひとまろ)は、島根県西部「石見国」に国司として赴任しており、石見地方には人麻呂の歌や伝説が数多く残されています。
人麻呂が最愛の妻のすばらしさを歌った「石見相聞歌(いわみそうもんか)」は恋の歌の中でも最高傑作とされています。
また、島根県東部「出雲国」の国司として赴任した「門部王(かどべのおおきみ)」は天皇の曾孫にあたり、中央での地位も高かった人物です。大和朝廷が地方の歴史・風俗・習慣を綴らせた『出雲国風土記』が作られた頃(8世紀前半)に赴任しており、当時の出雲の風景を叙情的に読んだ歌が万葉集に残されています。
万葉集ゆかりの地、島根を巡って、万葉の風を感じてみませんか。
コーディネータ:川島芙美子 山陰万葉を歩く会会長 動画制作編集:山陰万葉を歩く会 企画:島根県 協力:Youtubeチャンネル 「ご縁の国しまね」 共同組合 島根県鐵工会 ※ 文章は、『鐵工会だより』(第185号、令和3年7月10日)「こんなにあるのか郷土の遺産48」より。
島根は、神話の国、万葉の国です。
出雲大社とご縁の国としても有名ですが、実は万葉集ゆかりの地が色々あるロマンの国でもあるのです。
特に石見(島根県西部)は 万葉恋歌の舞台として有名です。
万葉集の最高恋歌、柿本人麻呂の「石見相聞歌」の舞台を訪ねてみましょう。
地元の人のあたたかい楽しいおもてなしと、万葉食と美肌温泉があなたを待っています。
御朱印帳を片手に恋のスポット巡りを始めてみませんか。
スマホは便利です。ユーチューブ「ご縁の国しまね」にアクセスすると、西は津和野から、東は安来まで、飛びきり美しい映像で、島根が満喫できます。嘘ではありません。
コロナで動きのつかない貴方(あなた)、島根の魅力的な秘密の場所にご案内します。
案内人はヒトマロさんです。
千本の朱の鳥居をくぐりぬけると、太皷谷稲成(たいこだにいなり)神社。そこには亀井のお殿様に似たヒトマロさんがいらっしゃいます。亀井のお殿様は、毎日、益田市の高津柿本(たかつかきのもと)神社(全国の柿本神社400 社の総社)を拝んでらっしゃいました。
山陰のモンサンミッシェルといわれる衣毘須(えびす)神社を知ってますか?映像を見ると、行ってみたくなります。日本一清流の高津川はドル箱といわれ、“鮎” や“つがに” が獲れます。
珍しい繰込(くりこみ)漁、石州(せきしゅう)半紙の作り方、浜田市奥の契(ちぎり)岩、日本海に浮かぶヒトマロさん、知らない、行きたくなる所が次々と出てきます。
さあ、次は石見東部に行ってみましょう。まず、出雲と違って、日本海の荒波の豪快さ、なだらかな山々、広がる砂浜、江の川の雲海など、石見の豊かな自然を満喫できます。江津市では、古代随一の美人、恵良姫(えらひめ)さんを訪ねます。会ったことがありますか?八頭身美人で、歌がうまくて、地元の人の自慢です。
高角山(たかつのやま)公園に行くと、恵良姫さんの声が聞けます。ヒトマロさんも歌っています。二人の歌を聞きながら、四阿屋(あずまや)に行くと、江の川を眼下に、出雲まで見渡せます。
さあ、二人の抱き合う姿のような三瓶山を浮布池(うきぬのいけ)から見ると最高ですよ。
石見には、願掛けスポットもあります。知ってましたか?
邑南(おうなん)町志都岩屋(しずのいわや)神社の鏡岩に“こより” を結びつけて願いをかけます。多鳩(たばと)神社のナギの木の葉を財布に入れておくと、お金持になります。
石見にも、心落ちつく良い神社がたくさんあり、心が洗われます。
そうそう、美郷(みさと)町では、千年前のヒトマロさんの御神像に出会えます。
こうして映像で巡ってみると、石見は、日本一の海の夕日とともに、万葉集第一の歌人ヒトマロさんの恋のロマンが味わえる所でもあるのですね。
ついでに、美肌の湯につかって、“大あなご丼”や“まる姫ポーク” を味わってみるのもいいですね。
実は、このユーチューブ動画、地図も入っていて、スマホを見ながら、ドライブがてらに、石見巡りもできるのですよ。できれば、日本海の夕日が拝める時が最高ですけど。
いよいよ次の映像は出雲です。出雲はヒトマロさん以外にスサノヲノミコトも案内人です。
神楽でオロチ退治をなさるスサノヲノミコトは、実は奥出雲町の船通山に降臨なさったのです。出雲で一番目立つ美しい山、斐伊川の源流です。
出雲は製鉄の地、タタラの地。映像はその仕組みを、砂鉄と木々の豊かな中国山地・かんな流し田・安来節・“どじょうすくい”などで楽しく、わかりやすく説明しています。
桜井家・絲原家のすばらしい庭園が映ると一転、そこには、またヒトマロさんが、顔を出します。実は、出雲もヒトマロさんを大切にする万葉ロマンの世界だったことがわかります。
島根は、古代から豊かさをもつ所、最後は出雲大社の神迎え神事でこの映像は終ります。
島根は~昔から歌を育(はぐ)くむ所、自然の中に神が宿り、神楽が盛んで、人々の信仰心の篤い所~それは今も子供達に受け継がれています。このユーチューブ動画を見て、もう一度“島根の良さ” を確かめてみませんか。
(注)ヒトマロさん(柿本人麻呂公):「万葉集」の歌聖
スサノヲノミコト(須佐之男神):「古事記」神話の神様
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