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古代出雲の謎を解くカギ!? 熊野大社と熊野大神 

みなさんこんにちは、「かむやけ」です。
列島を襲った寒波の例に漏れず、島根も久々に12月に雪が積もりました。
寒さと感染症に備え、体調を整えていきましょう。

さて今回は出雲大社とともに「大社」と呼ばれる、松江市の熊野大社のお話です。

松江市八雲町熊野に鎮座する熊野大社

熊野大社は松江駅から車で30分ほど、意宇川のほとりに鎮座しています。
主祭神は熊野大神。実はこの神、この熊野集落の神にとどまらない性格をもっているのです。

奈良時代につくられた『出雲国風土記』によると
熊野大神は「イザナキのまな子」であると記されています。

イザナキは記・紀神話で有名なあのイザナキノミコトです。
イザナミノミコトと共に国生みをおこなった神で、亡くなったイザナミに会いに
黄泉国へ向かった神話がよく知られています。
古代では淡路島周辺の海人たちに信仰されたとされ、兵庫県の淡路島には今も伊弉諾(いざなき)神宮が鎮座します。

「まな子」というのは真愛子、つまり親から心より愛された子という意味です。
つまり、熊野大神はイザナキに愛された御子神だとされているのです。

ここでお気づきの方もおられるでしょう。
記・紀神話ではイザナキの御子神として活躍が描かれるのはスサノオノミコトです。
実際、熊野大社によると、熊野大神はスサノオの別名とされています。

このように、熊野大神は記・紀神話と深い関係があるのですが
さらに出雲国の熊野大神は、紀伊国の熊野地方の神(和歌山県の熊野三山)を移したものという説もあります。
さらにイザナミやスサノオにまつわる『日本書紀』の神話伝承が、出雲だけでなく紀伊を舞台としたものがあることなどから、
こうした神々が活躍する神話は紀伊に由来するとも言われています。

ただし熊野というのは奥まった場所を指す言葉で全国で普遍的に見られる地名です。
私は熊野大神は出雲でもともと信仰されていた神で、紀伊とは無関係だと考えていますがいかがでしょう。
ではなぜイザナキの真愛子とされたのか、正直まだ分かりません。

現在も熊野大社は、出雲大社の古伝新嘗祭という毎年秋の神事や
出雲大社宮司の出雲国造の就任儀式でも重要な役割を果たす神社です。
熊野大社・熊野大神が古代出雲の謎を解くカギを握っているのかもしれません。

スサノオの母神をまつる熊野大社境内の伊邪那美(いざなみ)神社
重要な神事の舞台となる熊野大社境内の鑽火殿(さんかでん)

(かむやけ)

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