― 歴史の節目を見る、神仏分離 ―
『僧侶はなぜ仏像を破壊したのか―国宝に秘められた神仏分離・廃仏毀釈の闇-』。著者・古川順弘、発行・ 宝島、発行日・2025年2月25日、定価・880円(税込)、文庫本。 【購入する】
今年は「昭和百年」、昭和43年(1968年)は「明治百年」でした。ということは、今年は「明治157年」。そんな昔、あるいは古代史から見れば近年になる「神社仏閣分離」についての話です。
明治元年(1867年)、明治新政府樹立と共に、世界列強に追い付け追い越せのもと不平等条約の撤廃、富国強兵策とともに憲法制定・議会開催、そして廃藩置県や神仏分離が発令されました。
神社と寺院を分離する政策は、本尊を斧で叩き割るなど廃仏毀釈の運動となり日本の寺院、国宝が半減したといわれています。
本書は、廃仏毀釈によって翻弄された神社仏閣をとりあげ、衝撃的な出来事を具体的事例で取り上げています。
なお、取上げられた神社仏閣のなかに島根県の事例は含まれていませんが、神話と幕末からの神道に関わる神社として京都の八坂神社を紹介します。
明治以前、すでに幾度かの神仏分離の行動が起きていました。とくに江戸末期、儒学・国学・神道学などの普及とともに神仏分離を目指す動きが始まりました。とくに朱子学者でもあった水戸藩主徳川光圀は、領内の寺院半数を破壊しました。
明治新政府は,1868年(明治1年)1月17日、第1次官制で神祇科,神祇事務局,神祇官をおき,復古神道説の立場にたつ国学者や神道家を多数登用します。新政府は神道保護と仏教抑圧のための宗教政策をとります。そのひとつが「神仏分離令」です。これにより、古代から続く神仏習合が禁止されました。
神道が保護される一方で「廃仏毀釈」といった仏教の破壊活動が始まります。移管されたものも多数ありますが、全国で寺院や仏像が破壊されました。
本書では、34事例のそれぞれの分離と理由、そして経緯をとりあげています。
※なお、目次紹介の中で、紹介されている神社・寺社名をあわせて掲載しました。関心のあるものについては本書をご覧ください。
第一章 神仏習合から神仏分離へ(明治維新まで行われていた神仏習合とは?神仏分離はすでに江戸時代に実施されていた? ほか)
第二章 寺院から分離して激変した神社(日吉大社―神仏分離・廃仏毀釈のトップバッター、大神神社―フェノロサを魅了した本地仏十一面観音像、その他、伏見稲荷大社、八坂神社、石清水八幡宮、鶴岡八幡宮、北野天満宮、太宰府天満宮、日光東照宮)
第三章 廃仏毀釈と古寺名刹の危機(興福寺―全僧侶が還俗して放棄された名門寺院、内山永久寺―跡形もなく消え去った巨大密教寺院、その他、談山神社、東大寺・法隆寺・薬師寺、浅草寺、増上寺、寛永寺、大山寺)
第四章 神道化された修験霊場と権現信仰(金峯山寺―神社化されたものの寺に復した修験道のメッカ、出羽三山―聖地と修験者を強引に神道化、その他、金峯山寺、出羽三山、白山、秋葉山、竹性島弁天・鹿島弁天、大山阿夫利神社、金刀比羅宮、琉球八社)
第五章 廃仏毀釈から国家神道へ(薩摩藩、苗木藩、隠岐諸島―廃仏を強行した藩・地域;富山藩、松本藩、佐渡島―廃仏が失敗に終わった藩・地域、その他、三河大浜騒動、浦上四番崩れ、「村の鎮守」の神仏分離、白峯神宮の創祀、伊勢神宮の神仏分離、靖国神社の創建、東西本願寺の抵抗、宮中三殿の成立)
八坂神社は「消された牛頭天王(ごずてんのう)と祇園信仰」とし第二章で紹介されています。
八坂神社の草創は876年ともいわれ(諸説あり)、明治維新前までは祇園社や感神院などと呼ばれ、仏堂と神殿が並列していました。平安末期以降、牛頭天王を祀り、疫神的性格を持つ素戔嗚尊を牛頭天王の垂迹として祀ってきました。
しかし、神仏分離令が出ると仏教的なものはすべて否定・撤去され、「八坂神社」と名称も変わり、祀る神様も「素戔嗚尊」となりました。
本書籍には島根県の事例はなく、鳥取県の大仙寺が「山陰の地蔵霊場が見知らぬ神社の奥宮に」として紹介されているだけです。また「靖国神社の創建―源流となった勤王派長州の招魂思想」で、津和野藩士で国学者の福羽美静(ふくばびせい)が吉田松陰など幕末の攘夷派を京都の霊明舎に慰霊したくだりがあります。
福羽美静につきましたは、あらためて津和野の歴史文化で紹介します(一部、旅物語で紹介)。
旅をされる折、その地の神社や寺社の歴史探求の参考になればと思い紹介させて頂きました。
僧侶はなぜ仏像を破壊したのか 古川順弘▼
「本」とともに地域で生きる 南陀楼綾繁▼
改訂新版 東京 わざわざ行きたい 街の本屋さん 和氣正幸▼
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