収録・解説 酒井 董美 イラスト 福本 隆男
伝承者 松江市西川津町 佐々木綱さん(1896年生)
(昭和36(1961)年1月6日収録)

♫
ええこと聞いた 疾(と)う聞いた
洞光寺(とうこうじ)山へ聞っこえて 松が三本転んで
洞光寺でらの小僧がなんぼ出て
すけかぁても かぁても 転んだ
友だちの秘密を知った仲間が、その子をひやかして唄ったわらべ歌である。この中に庶民の素朴で古い民間信仰が隠されている。
ひとつは言霊信仰である。ことばには神が潜んでおられる。
良いことばを使えば良い結果が現れるが、よくないことばは、逆に悪い結果をもたらす。「ええこと」は決して良いことではない。当人には知られたくない秘密を知られたことは悪い言霊を発したことになる。
ふたつは山の信仰である。山は人間の住む平地とは違い神聖な神がお住まいになる場所である。
この歌では洞光寺山へ「ええこと」なるものの内容が聞こえた結果、言霊の影響が出てくる。それは「松が三本倒れ」ることにつながる。これには宿り木信仰と聖数信仰が背景にある。
松は神の宿る神聖な木とする信仰である。昔の人たちは、多くの樹木がすっかり落葉する冬にあっても、青々と葉をつけている松に神秘を感じた。つまりこれには神が宿られるから葉が落ちないと考えた。正月に門松として家の前に松の飾られる理由がここにある。
また「三」も神聖な数である。神にお供えするものを乗せる器を三宝といい、人が社会人として認められる
「七五三」なる帯直しの行事が、この地方では三歳を基本において行われている。こうしたことを考えると「松が三本倒れた」意味の重大さが理解されるのではなかろうか。
つまり、本人にとって知られたくない、絶対に秘密にしたいことが、こともあろうに神のいらっしゃる神聖な山に聞こえ、次々と悪い結果をもたらした。それは神の宿る木の松が、尊い数の三本も倒れ、小僧さんが直そうとしてもできなかったのだから、本人の面目は丸つぶれということになる。
このような信仰が常識だった古い時代に、この歌は生まれわけだ。子供の歌とはいえど、秘められた意味の深さはなかなかすごいものがある。

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