講題と同じタイトルの書籍が、講談社学術文庫から出版されています。『〈出雲〉という思想-近代日本に抹殺された神々-』、860円。聴講された方ならお分かりでしょうが、この本は古代出雲や神話についての書籍ではありません。明治国家確立における伊勢神道と出雲神道の役割と位置について触れています。出雲とは「近代史にあっても、きわめて重要な役割を果たした思想的トポスだったのではないか」、これが書籍を貫く基本的な視点です。
明治維新で都も京都から東京に移りました。その京都について、神様のお話をすこしします。
京都を旅する人が必ず訪れるところに祇園があります。そして京の夏の風物詩といえば「祇園祭」。7月に入れば格子戸の二階から鉾の上で奏でる「コンチキチン」のお囃子が聞こえてきます。祇園祭の巡行が終わった夜、祇園の八坂神社から三基の神輿が繰り出ます。この神輿に乗る神様が出雲の神様。中御座が「素戔嗚尊」(スサノヲ)、東御座が妻の「稲田姫」(クシナダヒメ)、西御座がふたりの子供たち「八柱御子神」といわれています。
え!、どうして祇園祭が八岐大蛇退治のスサノヲとクシナダヒメなの、と思われる方も多いでしょう。もともと祇園祭は「祇園御霊会」と呼ばれ、夏に流行る疫病を防ぐ祭礼で、「牛頭天王」を祀っていました。その牛頭天王がスサノヲに「変身」したのです。
このように何気なくお参りする神社でも、すこし神話を知るだけで随分と関心も認識も変わってきます。今度、京都を旅する時は、八坂神社の石段に座り華やかな四条通を眺めながら悪霊と戦う出雲の神様を想像してみてはいかがですか。ちなみに加茂川には「出雲路」橋が架かっています。
(参考資料 斎藤英喜『荒ぶれるスサノヲ、七変化』吉川弘文館)
おおきに。うち、初めてどす。都にお邪魔したのは・・・。
かんにんしとくれやすな。うちの生まれは、出雲弁のお国やし・・地がでぇが。
おおきに。都言葉もお稽古しますえ。
ほな、ごめんやす。
みなさんも、おきばりやす。
不慣れな京都弁、頑張ちっうけん。
さて、神道と話は先生の講義にお任せするとして、書籍でも大きく扱われている大宮の「氷川神社」について紹介します。これから島根に、出雲大社に行こうと計画されている首都圏の皆様は一度、氷川神社にご参拝されることをお勧めします。
■氷川神社について
祀られている神様は、素戔嗚尊(スサノヲ)と妻の稲田姫命(クシナダヒメ)、そして子孫にあたる大己貴命(オオクニヌシ)です。隣の社殿にはクシナダヒメの両親のアシナヅチとテナヅチが祀られています。オール出雲の神様です。近くを流れる「荒川」が、スサノヲが高天原より降り立った奥出雲の鳥上山(※)を源流とする「斐伊川」(ひいかわ)にちなみ氷川神社と付けられました。神社は東京都に59社、埼玉県に162社、他県には7社、首都圏に根を下ろした神社です。一ノ宮の大宮氷川神社ができたのは孝昭天皇の時代、つまり古代です。
※トップページの写真、雲のかかった山が鳥上山。現在の船通山です。
■どうして氷川神社が重要なの・・・
この疑問に答えているのが原武史先生の『出雲という思想』です。読めば読むほど不思議が沸いてきます。私は歴史推理小説を読むようなワクワク感で読み終え、翌日、氷川神社をお参りしました。このくだりはご自分で読んでください。
■大宮の街
東京駅からも、新宿駅からも30分強で大宮です。東口をでると正面の右端に朝からやっている飲み屋が目にとまります。ホッピーでモツ煮を突くのも楽しいかも。氷川神社に向かうには左側、すずらん通りや吉本劇場の入るラクーン横の通りを抜けます。ここらで帰りに寄る店を下見してはいかがですか。ちなみに「ウエストサイド」通りは隣に西武デパートがあったからです。通りを抜け信号を渡ると美容室の多い一の宮通り。道なりに進むと大鳥居が見えます。これは第二鳥居です。
氷川神社は、第一鳥居から本殿まで直線で2キロ。道を抜けたところにある鳥居は第二鳥居です。ここからは5百メートル。昨年まではお祭りやお酉さんでは両側に屋台が並び絢爛でした。
■お参りしたら近くを散策
参拝が終わったら氷川神社の楼門を出て左側に進みます。小動物園のある大きな大宮公園が開けています。春なら桜花の並木が奇麗です。隣接して野球場に、サッカー場に、競輪場があります。明治の頃は、これも含めて氷川神社でした。今思えば、これが残っていたら大樹の繁る物凄い森だったでしょうね。おすすめは池の反対側にある「埼玉県立歴史と民俗の博物館」と「弓道場」です。博物館で古代からの武蔵野や埼玉を学んでください。運がいいと弓道場での競技をみることができます。家族や少数の仲間同士で半日過ごせる歴史と自然の世界です。
さて食べ物では「大宮ナポリタン」をおすすめします。いろんなお店があります。皆様のお好みに合った店を検索してください。お子様には駅周辺の「さいたま市宇宙劇場」のプラネタリウムと「鉄道博物館」です。
■おわり
出雲大社の宮司を務める出雲国造家に生まれた千家尊福氏は、1894年に七代目の埼玉県知事に就任しています。出雲と埼玉、縁のある両県です。出雲大社のお参りした後でも、また出雲大社にお参りする前に氷川神社にお参りください。
びっくり。京都の八坂神社にも、関東の氷川神社にも、スサノヲとクシナダヒメが祀ってあるなんて。私、出雲だけかと思っていました。これから私も、全国の神社にお参りしたいな。そうだ。川越にも氷川神社があります。縁結びの風鈴があって、夏の夕暮れ、浴衣姿で散歩すると幸せな気持になりますよ。東京の赤坂にも大きな氷川神社があります。近くにテレビ局があるので、ちょっと寄り道するとタレントさんに会えるかも。
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