• ~旅と日々の出会い~
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田部家(雲南市吉田町)

美しい山間を抜けると吉田川沿いに開けた山里があります。そこがたたら製鉄で栄えた「企業城下町」です。田部家土蔵群の見慣れぬ建物に、一瞬、歴史のなかへ舞い落ちる感覚をもちます。それは自然と人がとけあった世界かもしれません。

鉄山師の町

鎌倉時代に紀州熊野から来た田部家は、1460年ごろ、たたら製鉄を始めたと伝えられています。松江藩の鉄師の筆頭は田部家です。田部家の本拠地、旧吉田村(雲南市吉田町)は田部家の「企業城下町」として栄え、土蔵群を含む田部家本宅を中心とした有力者が住む本町通り、寺院が立ち並ぶ山側エリア、食、日用品店、小鍛冶屋などサービス機能を持つ川原町筋、吉田川を挟んだ反対側は大鍛冶場や職人の長屋がある鍛冶屋原などが、小路を通じて有機的に結びつき、往時の面影を垣間見ることができます。

菅谷たたら山内

全国で唯一高殿(たたら製鉄の製鉄場施設)が残り、たたらの昔がしのばれる「菅谷たたら山内」(国指定重要有形民俗文化財)は、田部家の主力たたらとして大正10年(1921)まで操業していたものです。また、菅谷鈩製鉄用具(県指定有形民俗文化財)は、鉄の歴史博物館で保管・展示されています。

周辺情報

田部家土蔵群

・鉄の歴史博物館

  鉄山師・田部家に伝わる古文書やたたら職人の生活文化を知る沢山の資料が展示されています。

・鉄の未来科学館

  たたら製鉄の歴史を振り返り、鉄の未来を考える展示とともに、菅谷たたらの復元された製鉄炉なども展示されています。

・和同生産研究開発施設

  近代たたら製鉄の体験・伝承施設です。

・たたら鍛冶工房

  近代たたら製鉄で生産した和鉄を使い製品の製造を体験できる施設です。あわせて販売展示されています。

※各施設とも事前に連絡し開館時間等ご確認ください。

田部家土蔵群
玉鋼

古代史を変えた荒神谷遺跡と加茂岩倉遺跡

田部家訪問の際には、日本の古代史をひっくり返した荒神谷遺跡と加茂岩倉遺跡にも是非お立ち寄りください。

荒神谷遺跡 銅剣358本 

古代史を根底からひっくり返し、出雲王朝の存在を世に問うた銅剣358本の発見は、1983年(昭和58年)のことです。広域農道の建設に伴う遺跡調査の折、田んぼで拾った一片の土器がきっかけでした。翌年、谷あいの斜面を調査したところ銅剣358本が出土したのです。その数は、これまで全国で発掘された銅剣の総数を上回るものでした。

出土された銅剣は出雲大社に隣接する「古代出雲歴史博物館」に国宝として展示されていますが、是非、この地に出かけて発掘場所をご覧になることをお薦めします。

■所在地 出雲市斐川町神庭873-8
 山陰自動車道 斐川ICより車で2分

加茂岩倉遺跡 銅鐸39口

荒神谷遺跡から銅剣が出土してから12年後の1996年(平成8年)、荒神谷遺跡から直線で3.5キロの加茂町(現在の雲南市)で驚きの発掘がありました。これで出雲王朝の存在を確定し、国内の複数王朝説を明確にしたのです。

発見も出雲人らしい和みのある一声でした。農道工事中に掘削の重機が異常な音をたてた。停止して「だぁがポリバケツをこげなところに埋めたかね」と近づくと、なんとポリバケツではなく(古代からの贈り物)銅鐸だったのです。島根の古代史研究者がはせ参じ、二年間の調査で39口の銅鐸を発見したのです。またもや、一か所からの出土数は日本最多となりました。現在、本物は銅剣と共に古代出雲歴史博物館に国宝として展示されております。現地にもモックが埋めてあり、確かにポリバケツに見えます。是非、お訪ねください。

■所在地 雲南市加茂町岩倉837

道の駅たたらば壱番地 (雲南吉田IC)

島根と広島を結ぶ道の『中国やまなみ街道』の雲南吉田インターにある道の駅「たたらば壱番地」。地元の名産品と共に地元の農産物も販売してあります。ご近所へのお土産に、食卓の料理にお買い上げください。奥出雲のたたら製鉄の思い出を一層、味わい深いものにするでしょう。

また、玄関口には、雲南市バージョンの吉田くんの『秘密結社 鷹の爪』のキャラクターが出迎えてくれます。じっくりご覧ください。

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