• ~旅と日々の出会い~

七回 埼玉と江戸との結び目、「川越氷川神社」

川越氷川神社

高校生男子・水泳部のシンクロナイズドスイミングを描いた映画『ウォーターボーイズ』。そのモデルになった県立川越高校の近くに、今回紹介する『川越氷川神社』があります。東京の『池袋駅』からは、東武池袋線と西武池袋線、そしてJR埼京線の三本の線が走っています。ただし西武池袋線の到着駅は違いますので注意してください。

「氷川神社」の神様である素戔嗚尊(スサノヲ)と奇稲田姫命(クシナダヒメ)、大己貴命(オオクニヌシ)、脚摩乳命と手摩乳命(クシナダヒメの両親)が祀られています。(カッコ内は『島根国』で表記する場合の神様の呼び名)

樹齢五百年を超す大樹に覆われた川越氷川神社の歴史は古く、541年ごろ入間川で光るものを見つけ、この地に勧請したことがはじまりだと伝えられています。

川越氷川神社
  • 太田道灌(どうかん) 

太田道灌(室町時代後期に関東地方で活躍した武将)以来、川越の総鎮守とされ、川越藩主の崇敬を受けています。

太田道灌句
  • 川越まつり

国の重要無形民俗文化財に指定されている川越まつり(川越氷川祭)は、毎年10月に氷川神社にて斎行される「例大祭」、「神幸祭」、町内を巡る「山車行事(祭礼)」で構成されています。

  • 縁結び玉

氷川神社には古くからの伝えがあります。境内の玉砂利を持ち帰り、大切にすると良縁に恵まれるそうです。今は巫女さんが麻の網に包み、神職がお祓いした「縁結び玉」が頒布されています。(事前にご確認ください)

  • 縁むすび風鈴

毎年、七夕の夏には境内に2,000個以上の江戸風鈴が飾られ、願いを書いた短冊を結ぶ「縁むすび風鈴」で賑わいます。浴衣姿が一層風情のある時間と空間にします。個人的な意見ですが、他人の願い事は読まないのがいいのかなと思います。なぜって? 簡単なことです。お願い事は静かにしておきましょう。

文人としての太田道灌

太田道灌といえば、五代目古今亭志ん生の『道灌』が有名です。『後拾遺和歌集』の「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」の兼明親王の歌に掛けて、雨に濡れた太田道灌に山吹の花を差し出す貧しい娘の話です。
鷹狩に出かけた道灌は急な雨に見舞われます。そこで茅葺(かやぶき)の貧しい農家を訪ね、「蓑を貸してくれ」と告げたのです。貧乏でも蓑ぐらいはあると思ったのでしょう。ところが出てきた少女は、山吹の花を差し出すと、何も言わず引っ込んでしまいました。腹を立てた道灌は城に帰ると家臣に告げたのです。ケチで、礼をわきまえぬ無礼な女とでも言ったのでしょう。教養のある家臣でした。「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞかなしき」に掛け、家が貧しく蓑(実の)一つさえ持ち合わせていませんと暗に申し上げたのだと説明しました。山吹には実は付きません。道灌は、己の未熟さと無教養を恥じ、その少女を呼びつけて和歌の先生とし励んだそうです。その少女の名前が「紅皿」です。太田道灌が殺害されたあと紅皿は出家して尼となり、大久保に小庵を結んで太田道灌の菩提を弔いながら暮らしたと伝わっています。

さて話には続きがあり、歌舞伎の『紅皿の墓』です。この少女・紅皿を苛める継母と妹の「欠皿」との話です。東新宿の西向天神社横の大聖院にその墓と碑があります。歌舞伎で上演するときは皆様お参りするそうです。出雲の神様とは直接関係はありませんので、これ以上は割愛します。

ところで西向天神社には、苦労された不幸を身に着けたような藤圭子の『新宿の女』の碑があります。1969年、藤圭子はここから新宿の酒場を25時間ぶっ通しで回ったのです。なお、碑は1999年に建立されました。昭和の「騙される夜の女」の歌をYouTubeで聴いてください。物悲しく、せつない話が潜んでいます。また是非、訪ねてください。ちなみに近所には松江と縁の深い小泉八雲が暮らしていた碑もあります。 

西向天神社
小泉八雲の碑
川越まつりと山車(だし)

川越まつりの華はなんといっても江戸と川越の職人によって造り上げられた江戸系川越型山車(だし)と、絢爛豪華に飾られた山車の曳き回しです。

昼間は、囃子を聞きながら人形や彫刻、幕の刺繍など、それぞれ個性ある装飾を見比べて歩くのも楽しいことです。夜は山車の提灯に灯がともり、時代を超越した幻想的な世界が創り出されます。なんといってもクライマックスは、山車を自在に操る鳶、曳き手、そしてまつり囃子が入り乱れ、曳き方衆の提灯が乱舞する曳っかわせです。山車どうしが交差点などで出会うと、囃子台の正面を向けて競います。それは圧巻で、日本人の原点的な感性が激しく揺れ、心臓も高鳴ります。

30基程ある山車には町ごとの名前があり、牛若丸に弁慶、藤原道長や家康、そして素戔嗚尊や日本武尊などあります。それを探して歩くのも楽しみです。

川越城と太田道灌

川越城は、『ウォーターボーイズ』のモデルになった県立川越高校に隣接しています。
長禄元年(1457)、上杉持朝の命により、太田道真と道灌親子が築いたといわれています。今の城は嘉永元年(1848)に建てられたものです。

また太田道灌は、上杉持朝の命で軍事的防衛線として下総国との国境に江戸城も築城し、城主となりました。さらには江戸城の守護として日枝神社をはじめ、築土神社や平河天満宮なども造営しました。しかし、太田道灌の名声を恐れた主君扇谷上杉定正(持朝の子)は、道灌を暗殺してしまいます。

この辺りの話が「山吹の実と紅皿」との関係です。

通りと食べ物

川越の散策道は、藏通りにお菓子屋横丁等々沢山あります。それに伴って鰻をはじめ美味しい食べ物屋さんにスイーツの店も数多あります。これについては、皆様でインターネットや旅情報誌にてご確認ください。

個人的な好みを言えば、藏通りにあるお米屋さんの「おにぎり」、その並びの焼き鳥が好きです。いずれも場所柄長い列ができていますが、時間をずらして行くとそんなに並ぶことなく買うことができます。小腹が空いた時にはおすすめです。

川越氷川神社 素戔嗚尊と奇稲田姫命、大己貴命、脚摩乳命と手摩乳命
埼玉県川越市宮下町2-11-3
最寄り駅 川越駅、本川越駅

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