『島根国』は毎週月曜日に更新を続け、2024年11月25日に200回、12月に開設5年目を迎えます。
「辿りきて未だ山麓」。極めたひとだから言えるのでしょう。一つひとつの積み重ねで辿り着つくのではなく、いつか山に迎い入れられた心境です。それでも「未だ麓」。迷走を続ける私どもが口にできる言葉ではありません。ただ、こんな姿勢であり続けたいものです。
・志 継続こそが信頼
webサイト『島根国』は、会社設立とともに永く暖めてきた企画でした。考え方は早々にまとまり、「なぜ」発信する、「何を」なすべきかについても決めておりました。
コンセプト(理念)は、
「島根に暮らす人と島根を旅する人を繋ぐコミュニケーション・サイト」
運営者としてのミッション(使命)は、
①島根の自然や文化、人々の活動の魅力を紹介し、旅行者をはじめ関係人口の拡大とI /Uターンを応援する。(人との関係)
➁地域活性化と連動した自然との共存(SDGs)等の活動や考えを紹介し、これからの島根のあり方や夢を多くの人びとと共有する。(地域・自然との関係)
③ライフスタイルや新しい働き方が模索・検討される今、心の通う仕事環境や仕事の在り方を島根在住の皆様の活動を通し考える。(社会、組織との関係)
最大の障壁は、首都圏いてどこまで島根県の新しい情報や、触れてわかる文化・生活を独自な切り口で発信できるかでした。言い換えれば、島根に暮らす人々にどのように関り、島根に関心を抱く人々に何を伝えるかでした。そんな試行錯誤が躊躇させたのです。始めたら立ち止まることはできないことや、継続こそが信頼を生む一歩であることが重くのしかかっていたのです。
・災い転じて福となす
なかなか飛ぼうとしない私たちの背中を押したのが、なんと「コロナ不況」でした。
売上が三分の一になり、受注に向けての企画検討と提案の日々でした。インターネットを活用した遠隔システムによる教育もいち早く着手し、三画面の教育や講演会配信をまとめました。しかし、コロナによる社会的不安は提案訪問さえままならず、また主張先でのコミュニケーションも不自由な状態でした。
そんな時でした。仕事もなく時間をもてあそぶなら、ここは腐らず、楽しい日々を過ごすために、そしてみんなと夢を形にできることをしようと、webサイト『島根国』創りを決断したのです。
あれほど迷い悩んだ『島根国』は、金もないのに一挙に実現への道を走り出します。お金よりも夢を形にする自己実現と心の満足感を選択したのです。
意思と知恵と技術、そして創造力が結集して、2000年9月頃からプロジェクトは動きだします。
島根の歴史と文化、自然の美しさ、そして人々の営為を言葉にしよう。島根にも二カ月に一度出掛け、撮影や調査だけでなく、多くの人に会い、いろんな方に取材させて頂きました。
あの時、腐らず、苛立たず、「収入がないならないなりの生き方(過ごし方)」を模索して、『島根国』設立に着手したのは正解でした。
経営的に困窮していたから奮い立った『島根国』制作は、メンバーたちにビジネススキルや経営感覚とは異なる、社会や人々と共に創る意義を教えてくれたのです。なによりも夢を形にすることで得る「喜びと感動」を体感できたのです。
内容についてはいろいろなご意見もありましょう。あれもこれもと反省と改善の思いもあります。いつか一新する(リニューアル)時かくるでしょう。
しかし、私たちは続けてきた感動を忘れることはありません。創設の思いと意思と、寄せられた共感のメッセージを。今もなお、投稿を続けてくださる執筆者の皆様の熱い思いを。そして『島根国』を毎週、訪ねてくださる多くの人々のアクションと言葉を。なによりも首都圏にあっても広がる人びととの出会いと関係を。
・継続は力
「初心忘るべからず」。室町時代、能で大成した世阿弥の書『花鏡』にある、はじめた時の新鮮で謙虚であれという、ことにあたる姿勢と心を表した言葉です。
これも極めたひとの言葉です。
ひとには「探求・極める」と「破壊・創造」の二通りの生き方があると思います。世阿弥や千利休が「極める」ならば、「人間五十年下天の内をくらぶれば夢まぼろしのごとく」と動乱の戦国時代を治めた織田信長は「破壊・創造」の生き様でしょう。
仕事が厳しくなった時、『島根国』の構築を思い立った、あの瞬間、「みんなが苦しい」「だからこと夢をもち、夢を実現しよう」と奮い立ったからこそ、五年目の今があります。
だからと言って私たちは何かを「極めた」のではありません。その一歩にも達してはいないのです。それでもこの五年目を前にして感じる微かな満足は何でしょうか。
「破壊・創造」という新たな価値を生みだしたわけでもありません。でも心には新しい風が吹き、新鮮な思いが沸き上がっています。
・つねに初心
やるならば定期的な更新を。不定期に更新するのでなく、定期的な情報発信を特徴としたことも「夢」をより具体化し、出会った皆様との関係を意味深いものにしたのです。定期的に発信することは、「メディア」としての機能も芽生えさせてくれたのです。
私たちにとって「初心を忘れない」のではなく、「いつでも初心」なのです。初心であり続けるのです。仕事の合間に原稿を書き、多くの方々に投稿をお願いし、そして取材をお願いする。その一つひとつの積み重ねが、「200回」という重みのある実績となったのです。
そして『島根国』はこれかも続き、いつか新しい初心を迎え、その初心もまたいつか初心に変わることでしょう。
あらためて問うてみます、「なぜ、つづけるのか」。
明確です、次の初心が見えてきたからです。暗中模索は新しい暗中模索を迎えました。喜ばしいことです。
極めてもいないのに申し上げるのが気恥ずかしいのですが、織田信長の「破壊から創造へ」と方針を切り替えていきます。今の『島根国』を物理的に破壊しようというのではありません。考え方をあらためて新たな価値創造の試みにするということです。
理念「島根に暮らす人と島根を旅する人を繋ぐコミュニケーション・サイト」を確認し、記念すべき節目をチャンスとして、そして変わるためのエネルギーとして、次の三つを実行します。
①メディアとしての強化
毎週更新による成果、200回、そして次の250回、300回に向けて、すでに申し上げましたが「メディア」としての質と内容、即応性を高めます。
メディアの質とは、時代の流れに対応した論説・記事としてのジャーナル面での充実です。島根がかかえる課題は沢山あります。なかでも人口減少(関西・首都圏への流出)による過疎化と市町村経営の圧迫です。減少は公的インフラの鉄道やバスの廃線・合理化、高齢化からの医療や生活維持の困窮、さらには文化・民俗の伝承の途絶えなど、人類の英知が消え去ろうとしています。
その一つひとつを「記事」としてではなく、「物語」として丁寧に掘り下げ、地元住民の皆様や支援する県外者の活動をタイムリーに取り上げていきます。新たなコーナーを検討します。『それでも島根は動く』(仮称)
➁コトに関わる楽しみ、コトを創り出す喜びから、次へ
「モノ・ヒト・コト創り」は当社を創る前からのコンセプトでした。
webサイト『島根国』を事例に説明します。
1)モノ創り
ネットワーク上に存在するwebサイト『島根国』は、存在した時点で「モノ」です。この「モノ」を皆様がもっと活用し、愛して頂くために私たちはコンテンツやシステムの編集・開発に努めます。
2)ヒト創り
その「モノ」を創るには取材させて頂く島根在住の人びとやライターにデザイナー、システムエンジニアなど「ヒト」が関り、アクセスして活用して頂く皆様方である「ヒト」がいます。そしてこれからももっと多くの「ヒト」に届け、ファンになって頂くために私たちは多くの人々(ヒト)に出会い、工夫をします。皆様方には失礼な言い方ですが、ヒトがいてモノがあり、ヒトがモノを成長させるのです。私たちにとって協力者やアクセスして頂く皆様方とともに、偶然見た人も、面白くないと言うひとも大切で、創っていきます。
3)コト創り
私たちは、『島根国』(モノ)が皆様(ヒト)に愛されるだけで満足するのではありません。皆様も同じだと思います。それこそがインターネット文化であり、SNSの特徴と意義です。
「コト創り」。言い換えれば新しいブームや流れ、そして新しい価値や新しい関係を創ることです。その結果が新しい現象です。
「コト」を起こす。誰も来なかった寒村に、ある日突然、多くの外国人が訪ね来ることも「コト創り」、現象が起きたことです。
『島根国』を活用して新しい動きが生まれることを「コト」創りと位置付けています。
これがwebサイト『島根国』の目的であり、社会的な意義です。
しかし、私たちは追加して四つにすることにしました。次に「ジョウ(情)」(心模様)創りを提言します。
4)情(ジョウ)創り
受取る思いはヒトによって異なります。それは心だけでなく、価値観や思想や生き様に現れます。社会環境に影響され、人生や社会関係にも左右されます。それをひとつにしようというのではありません。むしろ、それは怖いことです。
良いというヒトもいれば、嫌いだというヒトもいます。正義だ、悪魔だと果てることのない対立もあります。自然環境の保護か開発かでも「知恵ある人たち」が対立しています。
理論や理屈という知性で考えるだけでなく、邪念や偏見をすてて対面し、感性で考えてみることを提唱します。それは感情で整理するとか、感覚で議論しようというのではありません。まず、訪ねて、触れて、その第一印象を感じてみることです。
ひとつだけルールがあります。決して相手を否定しない、バカにしない、そして最後まで聞く。なによりも自分も変わってみようと思う勇気を大切にすることです。
私たち『島根国』は、これまで以上に感性を大切にしたいと思います。
「モノ・ヒト・コト・ジョウ創り」。これを心掛けて皆様に接してまいります。
③島根の掘りおこし
島根の冷暖を感じ、色を味わい、風を知り、薫りを抱きしめ、そして貴方の言葉を知る。
私たちは島根のことについて「無知」であることは重々知っています。離れているからではありません。物覚えが悪いので、無関心であったからでもありません。訪ねて取材するたびに「驚き」「感動」し、そして「感動に驚く」からです。驚きと言う無知、感動という喜び、それはすべて皆様との出会いによって教えられたのです。
これまで以上にwebサイト『島根国』には注力しますが、あわせてSNSとの連携、メーリングリストの充実を図ります。ほかのサイトとの連動も検討しています。
そして重要なことは、キャラクターを活かしたプロモーションからマーケテイング活動、インターネットの世界を多面的に活用したイノベーションを起こします。それこそが現在追及する「楽しむ仕事」「心に残る仕事」へと繋がると仮説検証だと考えております。
200回、開設5年目を区切りに、私たちは変わるよう努力します。しかし、なによりも大切なことは、皆様方の参加と活用であり、叱咤激励です。どうかこれまで以上のご声援と情報提供をよろしくお願いします。
『島根国』編集・デザイン・システム・運営一同
スイッチバック大全: 日本の“折り返し停車場” 江上 英樹/栗原 景▼
明治の津和野人たち:幕末・維新を生き延びた小藩の物語 山岡 浩二▼
時代屋の女房 怪談篇 村松 友視▼
あの頃映画 「時代屋の女房」 [DVD] ▼
『砂の器』と木次線 村田 英治▼
砂の器 デジタルリマスター 2005 [DVD] ▼
砂の器(上)(新潮文庫) 松本 清張▼
フジテレビ開局60周年特別企画「砂の器」オリジナルサウンドトラック▼
出雲国風土記: 校訂・注釈編 島根県古代文化センター▼
小泉八雲 日本の面影 池田 雅之▼
ヘルンとセツ 田渕 久美子▼
かくも甘き果実 モニク・トゥルン (著), 吉田 恭子 (翻訳)▼
出雲人~新装版~ 藤岡 大拙▼
出雲弁談義 単行本(ソフトカバー)藤岡 大拙▼
楽しい出雲弁 だんだん考談 単行本(ソフトカバー)藤岡大拙/小林忠夫▼
人国記・新人国記 (岩波文庫 青 28-1)浅野 建二▼
QRコードで聴く島根の民話 酒井 董美▼
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