木次線は、松江市の宍道駅から雲南市・奥出雲町を経て広島県庄原市の備後落合駅に至る全長81.9㎞、駅数18の西日本旅客鉄道です。宍道駅では松江や出雲市に向かう山陰本線に、備後落合駅では新見と広島をつなぐ芸備線に接続しています。その木次線の一部が廃線の危機に直面しています。
全体の趣旨は、一部廃線の危機に直面した木次線を「地域活性化」と連携した町づくりの視点から『存続』を検討します。
手段としての鉄道や駅舎ではなく、住民や旅人の遊びや芸術、そして生活哲学の時空やコミュニティとして位置づけます。時に日常と非日常がクロスする『祭り』の時として、そして未来や過去の社会や自然と交わる会話の空間として、皆様の考えや意見も公開します。
『文化産業遺産・木次線』は二つのコーナーで構成します。
①『木次線をつなぐ―路線存続のために―』
➁『木次線物語―駅舎と車窓と人たち―』
線路で繋がる駅舎に人々は集い、そして駅舎は道を通して町や村に繋がり、出会いを演出してきました。それが広場でありコミュニティでもあったのです。
駅舎も線路も人や物を運ぶ手段だけではありません。人びとの夢や希望、そして思い出や出会いも運び、歴史や文化を築いてきました。
赤字だから廃線、ないと不便だから存続といった議論の前に、「木次線とは生活者や旅人にとって何か」「なぜ、残すべきか」、「存続のためには何が大切で必要か」、それは「なぜ」なのか。切羽詰まった状況だから、みんなで議論することが大切だと考えます。
現象の賛否に議論が終始すれば、一般論や具体論の一方に偏れば、経済法則にすべてか吸収されてしまいます。そこには物理的な対決しかなく、得る代償は成長とともに破壊です。
ひとには英知があります。ソクラテスの「無知の知」を語るまでもなく、どんなに優れたひとにも知らないことがあります。むしろ知らないことが多いはずです。
廃線のひとも存続のひとも無関心のひとも、みんな「木次線」のことについてどれだけ知っているのでしょうか。木次線という線路だけではありません。町と関わり、生活の交わり、多くの人たちの夢と希望を運んだ線路や駅舎、そして地域文化に果たした役割等々、私たちはどこまで知っているのでしょうか。
木次線がなぜ生まれ、地域に何をしてきたのか、そして本当に地域への役割を終えたのか、もしかして活用の方法があるかもしれません。調査して、考えて、議論して、また考えてみませんか。そこには線路だけでなく、町や村の活性化や人口減少への糸口や新たな価値の発見もあるでしょう。
廃線になった三江線を活用して町づくりを進める方が話しておられました、「なくなったら終わりです。あるうちに考えてください」
そうです木次線を思い出の隅に追いやるには早すぎます。まず木次線とは何かについて考えて、なぜ残すかを整理し、その継続の方法を皆でかんがえましょう。そこにはきっと「地域活性化」や新たな観光活用の路があるはずです。
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