この夏、島根を探検し、冒険してみませんか。そんなに難しいことではありません。つづら折りの山道の先にあるかもしれない蕎麦屋を訪ね、果てしなく続く紺碧の日本海の隅にある居酒屋を求めるように、あるいは路地裏の一角に控えめに扉を開けるスイーツ屋を探すように。夜な夜な密談する八百万のコミュニティに参加するために。
情報誌やネットではなく、貴方の感性と偶然を羅針盤と地図にして歩んでみましょう。
青春18キップがあり、周遊券があった頃、旅は気ままなもので、お金さえ多少準備をすれば飛びたてた。もちろん学生だから出来たといえるかもしれない。夏休みの前半はバイトして、盆にかけて周遊券で旅に出る。ユースホステルや駅の待合室が定宿で、リュックに寝袋と懐中電灯を詰め。
ホームにずらっと並んだ洗面所。地方都市の駅前には野宿向けに大きなテントが張ってあり、そこで食べ物を分け合い、旅先のネタも交換した。ときに共に旅をして、ひと夏の恋に落ちることもある。
そんな時代はもう来ない。決して来ない。情報社会からSNS時代へと変化し、情報をいとも簡単に取得して楽しい経験と低価格の贅沢を堪能できる。まるでネット婚活のような、条件提議すれば最善の出会いを大量のデータの中から選び出す。貴方はそれに登場するだけで、至福の喜びを得るのです。
その代わり平場の旅もまるで二千メートル級の山登のように、畳の上の準備が大切となり、大学受験のように過去問解読が豊かな日を約束する。それでも、いいではないか。「安心・安全」、そして「格安・満足」を得るならば。
でも、路地裏の赤提灯で出会う初対面の驚きや喜びも味わいたい。むしろ、当たりであろうとも、外れであろうとも、この偶然が楽しみだ。優しい女将さんに、無口な大将、話し好きな常連さんに、夕食代わりによった仕事帰りのお姉さん。酒癖の悪い親父や泣き上戸のお婆もいるかもしれぬ。それでも、この偶然がたまらない。
こんな旅を、この夏、してみませんか。
といっても一般的な常識は守りましょう。「旅の恥はかき捨て」と無茶苦茶してもいい道理はなく、文化風習を知らず己の無知をさらけ出す「恥」ならばした方がいい。もちろん学ぶことが付帯条件。
飲み屋、レストラン、食堂はネットでなく自分の勘で。はずれてもいいではないか。名所旧跡は検索ではなく道行く人やお店の人に尋ねよう。聞いたら必ずお辞儀して礼を述べること。ついでにお店を推薦してもらうのもいいだろう。意外と掘り出し物に会う。気に入った店に入ったなら、二軒目の店を聞くのもいいだろう。間違いはない。
古本屋に入り、地元紹介の書籍を買い、町について聞くのもいい。在野の博識者や庶民の歴史を学べる良い機会である。
これはお願いだ。忙しいときもあるでしょう、ずけずけ尋ねる慇懃無礼なものもいるでしょう、要領を得ない質問もあることでしょう。申し訳ありません、その時は町の観光大使の対応で、あるいはガイドの毅然とした対応で接して頂きたい。それでも腹落ちしない旅人なら、教育のためにと叱り飛ばして頂きたい。
目的もなく旅に出たものには、出会いが何よりも大切で、出会いが旅の思い出となるのです。そこのところよろしくお願いします。
「薄紫の山脈は・・・おきの島山夢のごと・・・」。島根県民歌です。「90万の県民」はいませんが、「山に幸あり・・海に幸あり・・豊かなるわが島根」は変わりません。
むしろ何かを求めてではなく、「何もない」島根を散歩気分で訪ねる、そんな心豊かな気分で味わっていただきたい。
今年の夏休みに向けて、そんな横丁を、山路を、砂浜を、紹介します。
紹介コーナーは、『自然と観光』の「五感で感じる、島根の旅」です。第一回は、『神魂(かもす)神社と古道』です。
「ジョニーが来たなら伝えてよ ・・・・・・・」
昔、駅には「伝言板」があり、旅で出会った友への伝言を書き見込んだ。もちろん便利な携帯電話などない時代のこと。
「先に行きます。けいこ」「二時間待った。何かあったか。よしお」「ユースで会った静御前へ、また会いたい。萩のユースで待つ」なんて。
読んでくれないかもしれない、思い違いかもしれない、でも待ち続けた。待つことには慣れていた。朝まで待合室で待ち、やっと会えたこともある。ユースホステルに電話があり走って迎えに行った。
12時間の制限付きで、消されることもある。当然無視されたこともある。でも、このわずかな出会いの喜びを伝言板に書きとめることが楽しかった。君に感謝を伝えるために、そして旅の大切な栞とするために。
この夏、島根には「出会い」という「喜び」がある。
『島根国』は、そんな喜びを『伝言板』にして伝えます。
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QRコードで聴く島根の民謡・労作歌 単行本(ソフトカバー) 酒井 董美 (著), 福本 隆男 (イラスト)▼
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