• ~旅と日々の出会い~

シマネミコーズ すべて言っちゃうぞ! 新春大座談会

―2021年は私たちが活躍する年だ―

出席者  コメコメ、ウサッピ、コトネ、カワセミ
コーディネータ 額田王(ぬかたのおおきみ)   

※これは架空の座談会です。ただし「島根国」の案内人の考えや気持は本当です。

会場

小ホールに五個の小型テーブルが、中華料理店の丸テーブルのように円形状に置いてある。四つの席には座談会の四人が座り、空いている席に着くだろうコーディネータの到着を待っている。車座のテーブルを囲むように同心円状に50人程の観衆が行儀よく座っている。みんなの関心は、誰がコーディネータかだ。

室内は暖房で温められ、窓からは冬の陽光が差し込む。

観音開きのドアが開くと「島根国」の運営者が入り、深々とお辞儀をした。慌てて四人の案内人と観衆も起立し、45度の角度で会釈する。まるで背中に物差しでも差し込まれたほどの礼儀正しい姿勢だ。

運営者は眼差しと手で着席するよう促した。みんなはもう一度会釈して座る。それは誰かに指示されたというよりは、自然な動作だった。

コメコメ
ウサッピ
コトネ
カワセミ

コーディネータは誰かしら?

島根国  まずは、新年あけましておめでとうございます。(みんなも一斉に「あけましておめでとうございます」とこたえた)。それでは、これより、「シマネミコーズ すべて言っちゃうぞ! 新春大座談会」を開催します。まず初めに、みなさま、お待ちかねのコーディネータの方を紹介します。

 (会場が水を打ったように静まり返る。四人の案内人とともに観衆の視線は、入り口に貼りついた。コーディネータは誰なのか早くから噂された。しかし主催者は漏らさなかった。ただ「当日は盛り上がるぞ。『嵐』や『鬼滅の刃』以上だから」ともったいぶった返事をしていた)

コメコメ ねえ、本当に誰かな?

  (会場の灯が消え、真っ暗になった。会場のあちらこちらから悲鳴が上がる)

カワセミ なに、なになの。事故なの?

  (モーターの回る音とともに天上から風圧がする)

コトネ 変な音と風を感じない?

額田王

   (一点にスポットライトが当たった。一人の女性が立っている。女性の上をゴンドラが天井へと昇っていく音がする。大げさな演出だ。しかし、すぐに納得した。天から舞い降りるべき方なのだ)

  (コーディネータが額に掛かる黒髪を分けるように顔を上げた)

  (会場は悲鳴に似た歓声が上がり、激しい拍手の嵐となった。その拍手はやがて手拍子になる)

カワセミ 先輩だわ!

ウサッピ お姉さま!

コトネ おー、神よ・・・

  (みんなの驚きを諭すように女性は見渡した)

額田王 みなさま、あけましておめでとうございます。そして、初めまして。

  (みんなも立ち上がり深々とお辞儀をした。「あけましておめでとうございます」)

額田王 皆さん座って。ぬかたのおおきみ(額田王※①)です。本日はお招き頂き有難うございます。(満面の笑顔で観衆のみんなに両手を振る)

  (再び悲鳴と歓声が上がった)

  (四人の案内人は、観衆の歓声に押されるように噂話を口にした)

コメコメ 額田王先生、先生はこの地、意宇(おう)の出身ですか? (額田王誕生の地は、大和(奈良)と意宇(今の松江)の二つの説がある)

ウサッピ お姉さま、あの華やかな三角関係の話は真なのですか? (大海人皇子(おおあまのおうじ)こと天武天皇と天智天皇の恋愛話)

カワセミ そんなことより、あの和歌の意味するところは・・・?「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る※②」。そのお心は。

コトネ そんな俗なことより、『古事記』編纂(へんさん)の秘話を是非お聞きしたいです。お聞かせくださいませんか? (天武天皇の指示で編纂が始まった)

  (四人の案内人が、めいめい好奇心のままに発言した。それは参加者にとっても尋ねたいことだ)

  (そんな圧を跳ねのけるように額田王はみんなを見詰めた)

額田王 おやおや、ぶら下がり取材みたいね。皆さん聞いて、今日は『島根国』の開設をお祝いした新春の座談会よ。主体はわらわではなく、四人の案内人の方と、そして集まった皆様よ。そこからお話ししましょう。わらわのことは最後にちょこっとお話しするわ。

  (四人は互いに頷き合うと席に着いた)

※①額田王 飛鳥時代の皇族・歌人。生没年は不詳。小説などでは絶世の美女であり、優れた万葉の歌人。天智天皇と天武天皇との関係など、今的にはキャリアウーマンである。黒岩重吾『茜に燃ゆ』、馳星周『比ぶ者なき』をお薦めします。

※②和歌 「大海人皇子と別れ、今は天智天皇と付き合っているけど、そんな『好きだ』とモーションを掛けられたらばれちゃうわよ」

案内人の自己紹介

額田王 はい、みんな素直でいいわ。それではわらわにも、みんなにも分かるように2021年の抱負について、自己紹介を兼ねてお話しして。みんなが話し終わったら、次は島根国での活動のポイントね。最後にわらわから締めとして総論するわ。ところで観衆のみなさまは誰かしら。

島根国 申し訳ありません。当初は五人だけの座談会と計画しておりました。ところが、どこからか漏れたらしく、どうしても聞きたいと問い合わせがあり、断り切れませんでした。そこで、今後とも「島根国」に協力してくれる方々を特別許可した次第です。

  (額田王は静かに頷いた。ほつれ毛が真珠のような白い襟足に掛かった。ぞっとするほどの妖艶さが漂う。参加した女の子たちのみんなが額田王に女を感じ、惑わされた)

額田王 それでは私の隣から話していただこうかしら。

  (黒い瞳で見つめられたコメコメは、瞳に引き込まれでもするかのように立った) 

コトネ 額田王先生(額田王を凝視する)。その前に付けておられるお香の名前を教えてください。

額田王 お香に興味があるの?

コトネ いえ、尊敬する額田王先生に少しでも近づきたいのです。ここにいても穏やかな気持になる先生のお香を付けたくなったのです。

  (口元をかすかに押さえて笑う額田王の頬が、幾分赤みがかった)

額田王 そうね。「冬ごもり」とでも名付けましょうか。

カワセミ 春さり来れば 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ・・・(春になれば鳴いていなかった鳥も鳴きにやってきます)

額田王 よく知ってるのね。万葉集にある私の和歌の「冬ごもり」よ。

  (会場は幾分和み、額田王のお香が薫りを増した)

コメコメ (大きく深呼吸する) では私からお話しします。コメコメです。私はほかの皆さんのようなお金持ちの家庭と違い、農業と製造を生活の糧とする労働者・農民階層の出身です。

  (コメコメの毅然とした態度に、額田王は大きく頷いた)

コメコメ でも、そんなことを恥じであるともハンディとも思いません。これから私が何をするかだと思います。その意味では額田王様にお会いできたのはとても幸せなことで、そして運命であるとも思っています。私の夢は、私だけでなく万民が幸せに暮らせる世の中を築くことです。具体的に申せば、衣食住の確保と教育・医療を誰でも平等に安く受けられ、すべての民の基本的人権が守られることです。この礎創りを今年の目標にしています。

額田王 素晴らしい考えだわ。貴方のご両親の苦労が、価値ある経験として引き継がれているのね。一緒に実現しましょう。ではお隣の方。

  (コメコメはガッツポーズをしてから座った。ウサッピがウインクした)

ウサッピ はじめてお目にかかります。私はウサッピです。私の願いは小さなことです。でも、大切だと思います。それは、ひとを愛し、愛されることです。家族の中で、村の中で、私の位置をしっかり築き、まかせられた役割を責任ある行動でもってこなす、そのためには愛し愛されることが基本になると思います。2021年は「LOVE」の年にできれば、幸せです。

額田王 大切なことよ。ひとは一人では決して生きてはいけない。どうやってみんなと共に生き、自分の使命を果たすか、それには愛がすべてだと、私も思います。互いを尊重し、認め合うことが大切ね。そして互いに感動を共有しましょう。頑張りましょう。

  (ウサッピは白魚のような指で目じりに触れた)

コトネ 先生、コトネです。私は二人とは違うわ。でも、二人を認めないのではありません。二人の考えは生きる意味で重要だと思います。でも、先生、私思います。自分が思うことや、活動するだけでは、みんなを幸せにはできないと。

額田王 どうしてかしら?

コトネ 額田王先生も、今、おっしゃいました。「ひとは一人では決して生きてはいけない」と。だから集団となり、村を造り、社会を形成するのです。自然発生的に生まれた集まりでも、それを維持するにはルールや規則が必要になる。そしてみんなが幸せになるには、ルールを犯す人を罰する人や、もっと発展するためにいろんな施策や計画を考えて実行する人も必要になります。わたしは、そんな人になりたい。生まれたばかりの「島根国」を立派な国にしたい。そして私も評価され、それを励みにもっと勉強をしたいのです。

  (額田王は優しい笑みでコトネをみると、その視線をガラス窓のずっと先の山々に向けた。みんなには見えない飛鳥の里が映っているのだろう)

額田王 そうね、組織を作り、村をつくると、そこにルールや規則が必要になるわね。大切なことよね。でも注意して、それが時として人の夢や自由を侵すことにもなる諸刃の剣であることも。

コトネ どうしてですか? みんなのために作るルールや規則ですよ?

コメコメ 私は先生がおっしゃる意味が分かります。村には生い立ちや立場、あるいは環境の違う人が沢山住んでいて、時として互いの目的や夢がぶつかることがあります。そんな時、ルールや規則が一方だけに味方し、利益をもたらすことがあります。

コトネ じゃあ、コメコメはルールも規則も約束も要らないというの?

コメコメ そうじゃない。必要だよ。でも、現実の社会では意見がぶつかるんだよ。

コトネ だったらみんなで話し合えばいいのでは? そのためにリーダーや知識にたけた人を作るの。わたしは、そんな国造りの人になりたいの。

  (コメコメは何かを言おうとした、が諦めたのか俯いた)

カワセミ ちょっと待ってください。お二人でお話しする前に私の抱負も聞いていただけますか?

額田王 そうね、まだお話を聞いていないあなた、お願いします。お名前は?

カワセミ はい、私はカワセミです。私は、みんなの抱負はすべて大切で、素晴らしいと思います。私も、みんなのようになりたいです。でも、私、あまり行動的ではないから、それに初めての人とはうまく話せないの。抱負も小さなことで、私のことしか見てないかもしれません。

額田王 抱負には大きいとか小さいとかはないわ。そして社会を考えるから素晴らしいということでもないのよ。

カワセミ 私、引っ込み思案で、意思も弱いの。でも、和歌を創ることや、いろんな方の和歌を読むのが大好きです。今年の目標は、多くの人にとって、心が安らぐ和歌集をつくりたいの。自分のためではなく、みんなが幸せを感じられる歌集を。そしてもっと人を癒すことができる短歌や、それだけではなく、小説や詩などの創作技術や心も学び、成長したいの。

コトネ なんか自分のことだけのようで、でも魂というか心の大切さのような、うまく言えないけど、生きていく基本のような目標ね。

額田王 カワセミさんの目標もみなさんと同じで素敵よ。それにコトネさんの意見も素晴らしいわ。みなさんいい仲間ね。

  (四人が一斉に立ち上がり) 「ありがとうございます」とお辞儀した。

額田王 コメコメさん、ウサッピさん、コトネさんの抱負は、今は持っていない資質や条件を作りたい抱負ね。カワセミさんは、自分の存在を確かめようとする自分の心の成長を通して、自分の夢を形にする考えよ。その結果として社会に貢献できるのよ。社会貢献を目的にしますのではない。その成長の過程が社会に貢献できる、貴女の存在の確立が目標なの。

カワセミ もっと社会的なことに変えたがいいのかな?

額田王 そうじゃないわ。抱負の置き方が違うだけで、実現しようとする考え方は同じよ。

カワセミ そうですか。 

額田王 抱負と言う目標を掲げ、現状の自分をしっかり捉える。当然、そこには大きな差があるわ。その差をいろんな活動や学習で越えていくのよ。丁度階段を上っていく感じね。四人は抱負こそ違うけど、実現しようとする構造は同じよ。みんなでよく話し合って、そして助け合って頑張ってね。きっと素晴らしい「島根国」が出来ると思うわ。

  (四人だけでなく観衆も一緒になって「頑張ります」と叫んだ)

島根国のどこを紹介するか

額田王 さて、このサイトの目的は「旅する人と島根に暮らす人との出会い」ですね。これからはみなさが、島根の何を紹介するかお話しください。今度は、ウサッピさんからね。

ウサッピ はい。今年の抱負として、みんなから愛され、愛することを掲げました。そのためには、みなさまが健康で心が清潔であることが大切だと思います。島根は「美肌日本一」に何度も輝いています。そこで女子にとっては永遠のテーマでもある「美」について、温泉や食を中心に、そこで働く人々との心温まる交流をとおして紹介します。

カワセミ そうだね、額田王先生が美しいのは、教養があって心に偽りがないので、いつまでも奇麗でいられるのよね。

額田王 あら、嬉しいわ。(額田王は大海人皇子たちと行った南紀の温泉を思い出した)

ウサッピ 旅する人から好感をもたれるって性格や考え、そして清潔な容姿や対応だと思います。

額田王 そうね。容姿だけでなく仕草も美しいということは、人と人との良好な関係によって生まれると思います。どちらが先かではなく自分がどうあるべきか、それを含めて紹介してね。ではコトネさんね。

コトネ 私は島根の歴史や文化を著名な方の人生も含めてお話しします。

額田王 それで? (珍しく挑発的な突き放した物言いだ)

コトネ それだけです。(すこしむくれた)

額田王 旅でいらっしゃった方にとって楽しいかしら?

コトネ (眉間に立て皺が三本走った) 楽しいに決まっています。古代からの歴史、活躍した先輩の教訓。どうしてつまらないのですか?

コメコメ でも旅する人に興味がなかったら無理強いはできないよ。

コトネ そうよ。でもさ、それってみんなが紹介することにも言えるでしょ? 歴史だけではない。

額田王 そうですね、コトネさん、素晴らしい気付きです。旅される方にとって興味がなければ、どんなに美味しい食でも、また素晴らしい歴史のお話でもつまらないものになるわ。そこに気づいてほしかったの。とくに歴史や文化は難しいわ。

コトネ (膝の上でハンカチを千切れるほどに揉んでいたが、一度深呼吸をした) おっしゃる意味が分かりました。独りよがりの紹介は押し付けになり、旅する人の思い出創りの参考にはならないということですね。

額田王 そうよ。まず関心を持ってもらうこと。それからお客様である旅する人が興味をもってアクションに移してもらうのよ。そのための情報が物凄く大切なの。

コメコメ そうだ、関心から欲求して行動を起こす心理ね。売るための考えでなく買う人が何を欲しいか考える、そのことが大切だとバイト先のお兄さんが話してくれた(※③)。

額田王 そう。アルバイトも大変参考になる人生勉強ね。ところで今は、インターネットの普及で「検索」や「口コミ」が重要になったのよ(※④)。それは、いつか、そうね、三月ごろに話そうかしら。

  (額田王に島根国の責任者は大きく頷いた)

コトネ 分かりました。旅する人に、まず島根に関心をもってもらう、それが最初に必要なのですね。そして来ていただく前の検索のときに、旅する人にとって楽しみと感じる情報や、ぜひ訪ねたいと思う情報を提供するのね。

全員 額田王の頷きを見て、みんながコトネに拍手した。

コトネ (恥ずかしそうに立ち上がり一礼する)みなさま、メルシーボークー。額田王先生、大変参考になりました。

額田王 コトネさんは素晴らしいわ。気づきを直ぐに行動につなぐ勇気を持っていらっしゃる。では、カワセミさんね。

カワセミ (額田王を見、四人を見詰め、観衆を眺めた) 私、また自信なくしちゃった。自分の好きなことしか考えていなかったみたい。

額田王 いいのよ。気づき、学びが大切よ。そのためには謙虚であること。

カワセミ 私は島根の文学について旅する人にお話ししようと思っていたの。小泉八雲さんや森鴎外先生、そして島根に来られた小説家のみなさま、また西周さんやインド哲学の中村元先生です。でもお二人の話を聞いて、情報ではなく伝える中身や、旅行者の方が何を必要とし、楽しんでいただける情報に高めることが大切だと分かりました。文学や作品の紹介だけでは駄目なんですね。

額田王 どういうこと。

カワセミ うまくまとめられませんが、旅する人が求めておられるのは、作家や作品の情報ではなく、小説家や暮らした人が島根で何を感じ、なぜ好きになられたかの逸話ではないかと思いました。もちろん知識も大切です。でも、私たちがお伝えするのは知識ではなく、島根に来られた皆様に、作家さんたちがこの地で培われた感性や生活に共感してもらう追体験ではないか。それを感動できるストーリーとして提供することが大切だと思います。

額田王 それはいい気付きですね。

カワセミ だからもう一度考えさせてください。時間を下さい。

コメコメ (拍手する)変わったね、カワセミさんは。いつもなら、もじもじしていたのに堂々と考えを述べている。きっと楽しいアイディアができるよ。

額田王 そうね。では、最後にコメコメさんね。

コメコメ 私もカワセミさんと同じです。しっかり考えてから発表します。

ウサッピ ずるい。

コメコメ 嘘よ。(笑う)

コメコメ 聞いていて今わかったのです。私はここに来るまで、みなさんに島根に来てほし理由から、格安の交通ルートや旅館、また食べ物屋さんやお土産屋さん、それに効率的な移動の方法など考えていました。それはそれで大切であることは変わりありません。でも、お話を聞いていて、お客様というか旅する人にとって大切なのは、安い、効率的、お得ではなく、そこから得る喜びや感動、あるいは島根の方との共感であると分かったのです。私は、そこまで自信をもって紹介しなければいけないと。

カワセミ そう。私もそのことをお話ししたかったの。ありがとうコメコメさん!

コトネ 私も今、コメコメに素直にありがとうと言える!

ウサッピ どういうことなの。

コトネ コメコメはいつも、春には竹の子の煮物、秋には栗おこわなど作って持ってきてくれるよね。もちろんお赤飯も、笹まきやおはぎさん、そしてお漬物に、煮しめ。みんな美味しかった。コメコメは野にあるものを採った田舎料理だよと言って、私たちのお返しを受け取らなかったね。

カワセミ 私も楽しみだった。そしてどんなお料理より美味しくいただきました。

コトネ そうなの。みんな美味しかった。それって、コメコメのお料理の上手さや素材の良さもあると思う。でもそれ以上に美味しかったのは、私たちのために作ってくれた気持や、おばあちゃんと出かけた山菜取りの話が、もっともっと幸せな気持にしてくれたのよ。

ウサッピ そうそう。一度、お爺さんに連れられてキノコ採りに出かけたよね。キノコ鍋もすごく美味しかった。でも山の奥にみんなとキノコを取りに行き、一緒に作ったことがもっと美味しくしたんだよね。いい思い出よ。

コメコメ みんなありがとう。何もない田舎の家に来てくれた。

コトネ 違うわよ。コメコメや、おばあちゃんやお爺さんのおもてなしと、コメコメを愛する気持が伝わったのよ。それがみんなを幸せな気持にしたのよ。そしてこんな家族になりたいとおもったわ。そしてウサッピと同じで忘れられない思い出。

カワセミ そうよ、私たちもコメコメのお家のような仲間でいましょう。そして創りましょう。

  (それまで静かだった観衆から拍手がした)

  (額田王は誰以上に手を叩いていた。四人は話し合うことで成長している)

※③ アイドマ(AIDM)の法則。正確には「注意→関心→欲求→記憶→行動」の順で消費者の購買行動が行われる。関心を持たない限り購買に走ることはない消費者心理。

※④ インターネットの普及で消費者の行動形態も変わり、考え方が大きく進展した。た。行動の英文の頭文字をとってアイサス(AISAS)とか、アイセアス(AISCEAS)ともいう。例えばアイセアスは、注意→興味関心→検索・情報収集→比較→検討→購入→共有。

まとめ

額田王 みなさま、お疲れ様。そしてご苦労様。大変参考になる座談会でした。

  (その時、静かに拝請していた観衆から手が上がった)

観衆 私たちの意見も聞いていただけますか。

島根国 (額田王の頷きに島根国が同意した)。分かりましたでは二人だけ、それも手短に。

A 私は隣の県の山口生まれです。島根で魚や海の動物について学んでいます。山口の青海島には「クジラの墓」があります。魚やクジラには県の境はありません。漁師文化にもありません。青海島は島根ではありませんが、そんな他県の文化との繋がりも紹介すると楽しいと思います。また漁師の気持なども。以上です。

額田王 そうね。それは素晴らしい意見ね。

B 私は広島から来ました。今では車で三時間半ほどです。おじいちゃんは被爆二世です。そんなこともあって永井隆博士の『長崎の鐘』読みました。三刀屋の記念館にも行きました。互いの地域のことだけでなく広島・長崎と広い視野に立って知識を得て、広島に帰ろうと思います。その前に島根のことをもっと知り、島根の人になって旅でこられた人や仕事で来られた人をもてなしたいと思います。広島に帰ったら、例えば島根から来た方に、島根の人の立場になって、おもてなしができる気がします。

額田王 『島根国』の座談会です。でも大きな視野に立って考えることは非常に有意義なことと思います。島根のことを語るだけでなく、他県とのつながりを考えることは、それは自ずと来る方のことを知ることにもなります。大切です。

島根国 額田王先生、お時間がありますので。

額田王 (しぶしぶ手をおろす観衆を見て) 皆様の意見は出来るだけ機会をもうけて聴きます。

額田王 ではお終いに、私の方でまとめさせていただきます。皆様から抱負と何を紹介するか話してもらいました。抱負では、目的と現状を具体化することを考えてもらいました。何をするかでは、みなさまがご自分で気づかれました。そうです。旅する方の気持に立つことです。それは形態や情報だけでなく、旅する人がそこから何を得て思い出にするか。それが大切です。コメコメさんの話にあった「おもてなしの心」ですね。

それではみなさま、今日のことを大切に、2021年、旅する人、そして島根に暮らす人にとって最大の出会いになるよう頑張りましょう。

島根国 額田王先生有難うございました。そして座談会のみなさま、観衆の皆様、ありがとうございました。では先生に、そして皆様に温かい拍手をおくり、終わりとさせて頂きます。

  (額田王が手を挙げた)

額田王 島根国の方、お話ししてよろしいでする。

島根国 はい計画のタイトルだけなら。

額田王 分かりました。今年の四月に向けて「島根国女学館」を作る計画があります。はじめは塾かもしれません。是非、みなさま参加してください。

静まり返った会場が大きくどよめいた。今、また新しい流れが生まれた。

~ 終わり ~

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