• ~旅と日々の出会い~

君にとどけ、「石見相聞歌」惜別の叫び

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-柿本人麻呂没後1300年を記念した連続講演会のお知らせ-

万葉歌人・柿本人麻呂没後1300年を記念し、島根県古代文化センター主催「万葉集・人麻呂・石見」をキーワードとした「柿本人麻呂」の連続講演が、8月11日、8月19日、10月1日、東京・日比谷コンベンションホールにて開催されます。


柿本人麻呂

石見国府の役人をし、この地で亡くなったと伝えられる謎に満ちた柿本人麻呂。多くの作品を残した柿本人麻呂ですが、石見に残す最愛の妻との別れを詠った『石見相聞歌』は、哀憐と情熱を織り込んだ情愛・性愛の和歌です。
「石見の海 角の浦廻(うらみ)を 浦なしと 人こそ見らめ 潟なしと 人こそ見らめ」
で始まり、次の体言止めで終わります。
「夏草の 思ひ萎えて 偲ふらむ 妹が門見む 靡(なび)け この山」

次の和歌は、皆様にとっても馴染みのある作品でしょう。
・近江の海 夕波千鳥 汝(な)が鳴けば 心もしのに 古(いにしへ)思ほゆ
・東の 野に炎の 立つ見えて かへり見すれば 月傾きぬ

中海の朝陽

柿本人麻呂の人生のほとんどは不明で、『万葉集』の詠歌とそれに附随するものが唯一の資料です。ただ作品の多くは、持統天皇の即位からその崩御にほぼ重なっており(690年~702年)、この時期の官人で、活躍した歌人と推定されます。

石見国の鴨山での辞世歌や、柿本人麻呂の死を哀悼する挽歌などから、官人として各地に赴任し、石見の国で終焉を迎えたとされています(諸説あり)。益田市の沖合の鴨島という説もありますが、中世に起きた地震(万寿地震)と津波で水没し、伝説としてのみ残っています。梅原猛の『水底の歌』ご覧ください。

冒頭で紹介しました『石見相聞歌』を石見の国の海岸に立ち、あるいわ山並みを眺め、諳んじてみるのも楽しい経験となることでしょう。

柿本人麻呂関係の神社

講演内容

「万葉集・人麻呂・石見」をキーワードとした「柿本人麻呂」の連続講演は、下記の通り、8月より三回、連続講座で行われます。それぞれ事前申し込みで、希望者が多い場合は抽選となります。みなさま、ご予定確認の上、お申し込みください。

島根県古代文化センター・メールからの抜粋

令和5年度「しまねの古代文化連続講座」(東京)のご案内

さて、本県は昨年度で終了した古代歴史文化賞を引き継ぐ事業として、今年度から新たに古代歴史文化賞受賞者などを講師に迎え、東京において連続講座を開催いたします。

現在、この講座の参加者を受けつけておりますので、ご案内申し上げます。申し込み方法・申し込みなど詳細は、↓以下のリンク先↓をご覧ください。

https://kodaibunkasho.jp/r5-kodaibunka.html

                                         記

会場/日比谷コンベンションホール
(東京都千代田区日比谷公園1-4、日比谷図書文化館地下1階)
募集定員/各回200名(要事前申込) 参加費/無料
申込方法/事前申込制です。申込先・方法など詳細は上記リンク先をご参照ください。

〔第1講〕
1 講  師 川島芙美子氏(山陰万葉を歩く会代表)
2 演  題 石見の人麻呂と大和の人麻呂-1300年続く人麻呂公信仰のなぞ
3 日  時 令和5年8月11日(金)13:30~15:00 ※開場12:30
4 申込締切 令和5年7月28日(金)

〔第2講〕
1 講  師 大谷雅夫氏(京都大学名誉教授、第8回古代歴史文化賞優秀作品賞受賞)
2 演  題 防人(さきもり)の歌
3 日  時 令和5年8月19日(土)13:30~15:00 ※開場12:30
4 申込締切 令和5年8月4日(金)

〔第3講〕
1 講  師 小松靖彦氏(青山学院大学教授、第3回古代歴史文化賞優秀作品賞受賞)
2 演  題 柿本人麻呂と世界文学
3 日  時 令和5年10月1日(日)13:30~15:00 ※開場12:30
4 申込締切 令和5年9月15日(金)

日比谷コンベンション

「柿本人麻呂ゆかりの地」旅ツアー計画

「柿本人麻呂ゆかりの地 しまねの古代文化探訪ツアー」が計画されています。詳細は8月以降に古代歴史文化賞ホームページに掲載されます。
柿本人麻呂の講演を聴き、現地の石見にて文化歴史とともに自然と食事もご堪能ください。

島根県「古代文化センター」とは

島根県に所属する研究機関です。活動内容をwebサイトより紹介します。(抜粋)

https://shimane-kodaibunka.jp/

①島根県の歴史文化に関する調査研究をおこなっています。
それぞれの研究員が専門知識を生かしつつ、客員研究員や他の調査機関と連携を図りながら、島根の特色ある歴史と文化の調査研究を続けています。古代出雲歴史博物館の企画展など様々な情報発信には、こうした研究の成果が活かされています。

古代文化センターの調査研究は、
A.「基礎調査研究」 (継続して基礎的な事項を調査研究する)
  5つの分野について、調査研究を行っています。
B.「テーマ研究」  (特定のテーマについて、期間を定めて研究する)
  特定のテーマを定め、基本3年間の計画で集中的に調査研究を行います。
の2種類があります。

②島根県の歴史文化に関係する情報発信をおこなっています。
調査研究の成果や最新情報をふまえて、島根県の歴史文化の魅力をわかりやすくお伝えする各種事業をおこなっています。
講座・シンポジウムなど。

『出雲国風土記』新刊

webサイト『島根国』と柿本人麻呂 (川島芙美子先生)

『島根国』でも、一回目の講師である川島芙美子先生の「柿本人麻呂と和歌」についての動画を二本、掲載しております。あわせてご覧ください。

【文芸のあやとり】
出会いと別れ 万葉の小径を行く――万葉集ゆかりの地、島根を巡って、万葉の風を感じてみませんか――

【日本遺産と心に残る風景・心に残る島根の風景】
柿本人麻呂没後1300年記念 柿本人麻呂と石見、そして万葉の恋歌【動画配信】―― 惜別の恋歌、「なびけ、この山」 ――

この夏、『島根国』制作のメンバーと(株)オウコーポレーションは、益田市の柿本人麻呂関係の遺跡や施設の撮影・取材と、津和野町の歴史文化と町並みの撮影・取材、森鴎外と西周の研究者の皆様のインタビュー撮影・取材も計画しております。楽しみにお待ちください。

なお、すべての費用や活動が東京在住者による手弁当とボランティアによるため、撮影や編集・原稿作成に時間を要するかもしれません。ご理解ください。

講演会の紹介もあわせ一連の活動が、島根県の文化歴史の啓蒙普及、観光推進の一助となれば幸いです。

平田・木綿街道での撮影取材