-next。君にとどけ、島根と広島を繋ぐ鉄道への情熱と希望-
12月14日、島根県・木次線木次駅前のチェリヴァホール会館で、木次線まつりが開催され、昨年、この祭りにて発表されたクラウドファディングによる「コミックス刊行」の完成本『さかねとつむぎとキスキ線』がお披露目されました。

12月14日、島根県・木次線木次駅前のチェリヴァホール会館で、木次線まつりが開催された。昨年、この祭りにて発表されたクラウドファディングによる「コミックス刊行」の完成本『さかねとつむぎとキスキ線』がお披露目され、木次線利活用推進協議会の石飛厚志雲南市長と糸原保奥出雲町長に贈呈された。わあせてクラウドファンディング協賛者の一部の方に手渡された。
今から88年前の1937年(昭和12)12月12日、八川から備後落合間が延伸開業し、木次線は宍道から備後落合まで繋がった。戦前・戦中・戦後、多くの人々や砂鉄・材木・牛・農産物、そして出会いと別れを運んだ。その木次線に一部廃線の情報がもたらされた。地域の自治体や住民は、存続への願いと希望をもって活動や啓発のイベントを行ってきた。そのひとつが、このお祭りであり、そして今回のお祭りの目玉であったコミックスの発刊である。
A5判、192ページの『さかねとつむぎとキスキ線』。都会から中国山地三百メートルの島根県奥出雲町に引っ越した女子高生。そこで、出会った木次線とともに生きてきた不思議な少女と雲南市に住むカメラ好きの女の子との交流。木次線の魅力や沿線の町の文化や歴史に接し、問いかける。その問いとは・・・
この町(奥出雲町横田)に生まれた私にとって、物語は遠い遥かな地の話のようでありつつ、描かれた風景は人の干渉を拒否したあの頃の姿であり、また建物や人の生き様からは年輪のごとく月日を重ねた密度を感じる。
現代の少女たちの感性と価値観。それは本当というノンフィクションと嘘というフィクションが交じり合った嘘でも本当である、いや嘘に隠れた真の本当のような世界である。それが、大切な、大好きな「私の、貴方の、そして未来の子供たちの木次線」である。
この物語は終わらない。そんな余韻と示唆と謎解きをもって終わる。物語はまだまだ続き、そして木次線もまだまだ続くという暗示でもあり、予言である。
総プロデューサーの江上英樹さん、鉄道好きの漫画家たこぱいそんさん、漫画協力者のごとう隼平さんや松本勇祐さんたちの『狙い』であり、木次線継続のために頑張る多くの人々の『意思』でもある。
小中学校や図書館、あるいは人々の集まる所には配布される予定である。ただ、クラウドファンディングでの作品であり、非売品であることが残念である。


木次線の出雲坂根駅~三井野原駅の間には、急勾配をジグザグに上る3段式スイッチバックある。コミックス制作の契機は、スイッチバックに魅了され、取材に来た江上英樹さんの熱い思いと行動から始まった。
横浜に暮らし、東京に仕事の拠点を置く江上英樹さんは、奥出雲町横田にアパートを借りスイッチバックを取材して、スイッチバックのジオラマを創りあげた(当サイトでも紹介)。それが木次線利活用推進協議会や木次線応援プロジェクト実行委員会との出会いであり、地域住民や旅行者や鉄道ファンとの繋がりだ。
「ひとつの到達点であり、次のスタートである」。シンポジュウムで江上英樹さんはいう、そして「次へ」を強調する。それは標高差162mある出雲坂根駅と三井野原駅をつなぐZ型のスイッチバックの楽しみにようにも聞こえる。
木次線の全線継続への思いは新幹線のようにはいかないだろう。それは、かつてこのスイッチバックを上り下った蒸気機関車のような重厚で粘り強い「きづな」が大切で、その道は文字通りスイッチバックの如くつづら折りに続く険しい路だ。しかし、それ自体が木次線の歴史かもしれない。希望と忍耐。

奇しくも木次線まつりの前日、12月13日付けの山陰中央新報「どうする木次線第6部・最適解(下)将来の町づくり」に気になる数字が記載されていた。
奥出雲住民アンケート(2022年9月)によると、高齢者が普段利用する交通機関で木次線利用は3.6%。雲南市民アンケート(25年度)では4%。奥地の山間部に行けば行くほど、本数も少なくなく、利用者も減る。
あわせて観光線路としても厳しい。当サイトでも取り上げた絲原記念館の副館長絲原丈嗣氏は話す、「(年間八千人が訪れるが)木次線利用者が訪れるのは年間10人いるかいないか」と。たったの十人に敬意をはらう。
※絲原家 「鳥の眼、虫の眼、魚の眼」 行動の経営をめざして
非常に厳しい現状である。だからこそ江上英樹さんは、熱い思いを込めて『木次線応援のこれから』として次のことをプレゼンする(資料より)。
★まずはコミックス「さかねとつむきとキスキ線」を一人でも多くの方に読んでいただく。
地元用にまずは500部を作成しました。立ち読みでも座り読みでも食べ読みでも構いません。一人でも多くの方の目に届くよう、人目につくところに、コミックスを並べていただけると幸いです。もちろん、コミックスを読んだら、その感想を喋りまくってください。
★このコミックスの「次なる」展開を考える。
この物語の続きを描ける場所を提供いただければ嬉しいですし、この作品のキャラを何かに活用していただける提案もお待ちしております。もちろん、アニメやゲームのような次なる大きな展開のお話があったら、天にも昇る気持ちです。宜しくお願いいたます。
★コミックスはあくまで「側方支援」のアイテムにすきない。
マンガもアニメもあくまで観光客の増加を目指すための1ツール。観光客がやがて関係人口と呼ばれる層を形成し、そこに新たな産業も生まれ、地元の従来も賑やかさを増すことで、本当の「地元活性化」という呼ばれる状態が到来することになります。そのためには、継続的な皆さんのお力が必要です。
そして、 「読んだ人が訪れる聖地になればいい」と締めた。(「聖地巡礼」については、今後『島根国』の「文化産業遺産・木次線」で取り上げる)

木次線まつりの前日の夜、出雲空港に着いた私は出雲市駅前のホテルに泊まり、翌日、木次線まつりに山陰本線と木次線を使い向かった。木次線まつりが終わると、木次線と山陰本線を使い松江に向かい泊った。午前中のまつりには参加できない予定であり、事実、しなかった。
出発前、まつり前夜に木次駅前に泊まることも考えた。しかし、費用と時間を考えると、木次線まつりに参加するだけでなく、松江での仕事の打ち合わせや出雲の遺跡見学などもしたかった。もちろん格安の航空券や宿泊費を考慮した。その判断の結果が、述べた工程となった。何を重点に置いたか、旅費に見合う利便と効率、そして自分の利である。
もちろん今回の旅の主目的は「木次線まつり」であり、それは一点の曇りもなく明らかだ。しかし、その目的と雲南市に貢献した内容とは反比例する。まさに通り過ぎるだけの観光客、ゴミだけ落とす旅行客である。
木次線まつりの目的は、木次線の活性化だけでなく、町の活性化でもある。その「地域の活性化」に協力できる行動は何かと常に考える。
関係人口としてのファンであるならば、野球場やサッカー場に行くファンのように、入場券だけでなくグッツを買い、飲食は最低しなければならない。しかし、今回、まったくできなかった。ただ祭りに参加して、話を聞いて、本を頂いただけだ。申し訳ない。駅前に市場でもあれば野菜を買ったかもしれない。それもかなわなかった。そんな反省からできることはないかと考えた。経済的な貢献だけではない。島根を盛り上げる契機や声援に。今まで以上の応援と思い、情報の発信、仲間や知り合いを連れての旅行し、そして島根という魅力を伝え、掘り起こす。
昔話『鼠の嫁入り』ではないが、「なぜ」「どうやって」の思考の行き着くところは始めの鼠、ここでは『島根国』だ。そのひとつとして、来年、『中国山地横断物語』という新たな企画を考えている。中国山地を縦断する木次線や伯備線、そして廃線となった三江線とクロスする中国山地横断。木次線継続の側面的な支援となれば幸いだ。


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