JR三成駅から車で20分、渓流沿いの道を走るとやがて左前方に橋が見えてきます。その橋を渡り、すこし進んだところに櫻井家があります。秋の紅葉(庭園のいろはもみじ)や春先の若葉、夏の深緑と四季折々の山の彩で迎えてくれます。冬は奥出雲の厳しい自然のなかで暮らす人々の英知を教えてくれるでしょう。
櫻井家は戦国武将 塙団右衛門の末裔家です。大阪夏の陣に始祖が討死の後、母方の姓「櫻井」を名乗り広島の福島正則に仕えましたが、同家改易のときから広島郊外の可部に住み鋳物業を営みました。その後、近世初期に備後国高野山(庄原市高野町)に移住していましたが、正保元年(1645)に上阿井村(奥出雲町)に移り、元文3年(1738)には現在の居住地の上阿井村内谷に居宅を構えました。
櫻井家住宅(国指定重要文化財)は、元文3(1738)に建造された主屋を中心に御成門・金屋子神社・蔵などで構成されており、鉄師居宅のたたずまいを今に伝えています。また、庭園は国の名勝に指定されています。櫻井家に長年累代にわたって伝えられた資料は、「可部屋集成館」で展示公開されています。
櫻井家の入り口の横にあるそば処「清聴庵」は、地元の阿井地区で栽培した小そばを、近くにある水車小屋で搗いた蕎麦を使用しています。地元のキノコの天ぷらなどもお薦めです。店から見える川の流れや柔らかく揺れるモミジの葉をご覧ください。食の喜びとともに愛でる楽しみも味わうことができます。
■所在地 仁多郡奥出雲町上阿井1655
櫻井家、絲原家、卜藏家の三家とも奥出雲町にあります。寄っていただきたい自然や文化遺跡、食などの『周辺情報』は、どこからでもお訪ねできます。サイトの紹介は便宜上三つに分けましたが、絲原家、卜藏家の周辺情報も合わせてご覧ください。
角炉は、炉を築いては壊すたたら製鉄とは異なり、炉壁を耐久性のあるレンガ製の高炉にすることで連続操業を可能としました。1907年、櫻井家も角炉に切り替え、安価な近代洋式製鉄法に対抗しました。しかし戦後、約300年に及ぶ操業を中止しました。現在、角炉は国の登録有形文化財になっています。角炉伝承館の横には、当時の「槙原たたら」の地下構造が保存されています。
当博物館は、大人から子供まで宇宙や生命の神秘を楽しみながら学べ、また誰もが安らげるふれあいの場として宿泊施設を合わせて開設されました。
常設展示では化石や恐竜の展示、企画展示では宇宙について紹介しています。また地元文化との交流としてたたら製鉄など奥出雲の歴史も紹介しています。
最上階にはレストランがあり地域の素材をつかった料理の提供も行っています。ナイトミュージアムなど季節ごとのイベントも開催しています。
■所在地 仁多郡奥出雲町佐白226-1 (事前にお問い合わせください)
※当サイト「古民家とリモートオフィス」の「多根自然博物館」も合わせてご覧ください。
奥出雲多根自然博物館の道向こうにあるのが長寿の湯です。日帰りの湯で、奥出雲を訪ねた帰り道、また多根自然博物館に併設する宿泊施設に泊りご利用することもできます。高アルカリ温泉で、美肌効果とともに疲労回復に優れた泉質です。
露天風呂の岩は、尾原ダムの湖底となった石を使用しています。ゆっくり湯につかり古の奥出雲を思い浮かべてください。
■所在地 仁多郡奥出雲町佐白223-5 (事前にお問い合わせください)
『出雲国風土記』に玉作の神が宿る山として表記された玉峰山から湧き出た温泉です。炭酸水素塩泉成分が多く、美肌とともに美白効果も期待できます。岩と檜の大浴場と露天風呂や家族風呂に砂風呂もあり、いろいろな温泉を満喫できます。また日帰りの湯としても、宿泊の宿としてもご利用ください。
■所在地 仁多郡奥出雲町亀嵩3609-1 (事前にお問い合わせください)
『古事記』でも有名な素戔嗚尊(スサノヲ)が高天ヶ原から降り立ち、ヤマタノオロチを退治した鳥髪(鳥上)の地に湧く温泉です。美肌効果が高い湯です。温泉からの眺める木々にも癒されます。
毎年行われるスサノヲに扮して舞う「宣揚祭」(せんようさい)やカタクリの群生見学の拠点の宿泊としても、また日帰りの湯としてご利用ください。
■所在地 仁多郡奥出雲町竹崎1843-2 (事前にお問い合わせください)
船通山は、奥出雲町と鳥取県日南町の県境にあり、比婆道後帝釈国定公園に指定された山です。その麓の鳥髪(鳥上)でスサノヲがヤマタノオロチを退治し、そのオロチの尾から「天叢雲剣」(草薙剣)が現れました(※)。
毎年7月28日、山頂の天叢雲剣出顕之地の碑の前で宣揚祭が開催され、「剣の舞」が奉納されます。
船通山登山。頂上へのコースは、鳥上滝を経る「鳥上滝コース」、ブナ林の道をゆっくり登る「亀石コース」があります。登山口から山頂まで約1時間半です。4月下旬~5月上旬にかけて山頂付近にカタクリが咲き、見どころです。
※あわせて当webの「出雲神話と神々」の「三話 ヤマタノオロチ退治」もご覧ください。
山間の田んぼの中にぽつねんとある古寺。ここの大樹のイチョウが絶好の被写体です。秋の夜なら、暗闇に浮かぶ黄金色のイチョウは奥出雲の神秘を語っています。また、水を張った田んぼに映る逆さまのイチョウは人と自然の営みの深さを教えてくれます。自然好きの方、写真愛好家の方にお勧めのスポットです。櫻井家や絲原家からの移動にお立ち寄りください。
■所在地 島根県仁多郡奥出雲町大馬木1060
1974年(昭和49年)、松本清張作『砂の器』は野村芳太郎監督によって映画化されました。テレビドラマとしても製作されています(中居正広や東山紀之)。個人的感想ですが、野村芳太郎監督の映画の後半20分に感動しました。加藤剛のピアノ演奏シーンを挟みつつ映し出される奥出雲の風景と人の愛、そして音楽は、台詞がないからこそ深く心を射抜くものがありました。その記念碑が、1983年(昭和58年)、亀嵩の湯野神社参道入り口に建立されました。
自然や人・社会と深く関わってきたたたら製鉄の『生産と自然再生』の歴史。その文化遺跡の継承と展開を、自然との共存、地方創生ともに、これからの櫻井家・可部屋集成館について、公益財団法人「可部屋集成館」理事長、櫻井誠己様に、お話をお伺いしました。
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